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梅宮 蛍の部屋  〜 新着順表示 〜


[50] ヒョウモントカゲモドキ
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爬虫類を飼っています
雌のヒョウモントカゲモドキです
名前をレオと言います
洋名のレオパードゲッコーから採りました

彼女は時折卵を産みます
無精卵です
放っておくとカビるので
私はそれを生ゴミに出します

ゴミに出した卵はとても臭いです
きっと栄養価が高いのでしょう
だから私は早々に
三角ネットごと紙袋にくるんで
他の燃えるゴミとともに
集積所へと持っていきます

爬虫類の卵は 食べられません
無精卵なので 孵化もしません
卵を産んだ彼女は
いつもとても痩せてしまいます
私は甲斐甲斐しく餌を与えます

丸々と太った彼女は
また卵を産みます
そうしてひと月かけて4つほど
産み落とすまで
私と彼女のルーティンは続きます

排卵は
いつの時代の
どんな種族にとっても
命懸けです
そこには生命の神秘と苦しみが
つきまとうのです
卵管に卵を詰まらせ
死ぬ個体もあると聞きます

だけど
ああ だけど

私はソレを生ゴミに出します
彼女の命がけの産物を
食べられないので
臭いので
カビるので
簡単に生ゴミにしてしまうのです
いとも簡単に

そうして今日もふたつ
捨てました

2025/08/17 (Sun)

[49] 
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

上の瞼が下の瞼と睦み合う時
脳は一人寂しく空想に耽っている
耳朶に届く虫の声
秋にはまだ早いと思っていたのに
いつのまに ほら

不思議な国の話をしよう
入眠と覚醒の狭間で見られる
あの世界の話を

神経の鎖から解き放たれて
小さな羽を生やして
金属の擦れ合う音を響かせながら
脳はコチラとアチラの境界を越えていく
見覚えのある見知らぬ街で
たくさんの登場人物たちが
誰とも視線を合わせず会話をしている
一方通行コミュニケーション
その重なりで
あの世界はできている

今はコチラがアチラで
アチラがコチラ
そのうちに
脳はジリジリと痩せ細り
羽根も次第に薄くなり
触覚がニョキニョキと飛び出して
キミは蝶になる

蝶が見た夢
夢が見た蝶

上の瞼と下の瞼の
長い長い性交は
何も産まずに終わるけど
頭の中には蝶が一匹
蛹になって眠っている

2025/08/17 (Sun)

[48] 何もしなかった
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この連休で たくさん書くぞと意気込んで
いたはずなのに
気がつけば 明日で休みも終わる
そんなテイタラク
四十間近の盆休み

2025/08/17 (Sun)

[47] 酷暑
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冷房の風が
私の肌を灼く
暑い日に
寒さで凍える私たちは
寒い日に
暖房の効いた部屋でアイスクリームを食べる
南極の氷が溶けていると
テレビが言う
北極では白熊が数を減らしているらしい
この異常な気温は
誰のせいかと問われても
私たちは私たちの命のために
エアコンを捨てることなどできない
せいぜいが
太陽のせいだと宣って
あるいは
それは
自虐だろうと嘯いて
ときには
もはや
自業自得と悲しんで
こころに吹く
風の出口に
蓋をして
冷房の下
肌を刺されながら
熱い珈琲を飲んでいる

2025/08/17 (Sun)

[46] トラジェディ。アンチ・シェア
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しゃがみ込みたい
そんな時分に「立て」と言われると
心が折れる
もう一度歩き出す
そんな物語は 今の僕には重いんだ

ちょうどいい音楽が見当たらない

しゃがみ込みたい
そんな時分に「休んでいい」と言われると
胸がささくれ立つ
世界を呪うだけの
そんな叫びは 今の僕には辛いんだ

ちょうどいい音楽が見当たらない

寄り添わなくていい
誰も構うな
今は独りで居たいんだ

2025/06/11 (Wed)

[45] 崇拝と罪
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ひきつめた髪の襟足から
こぼれる後れ毛の色香
惑わないあなたの優しさに
すべての刻が頭を垂れる
赦されたと思うのは
赦されたいと願うから
卑しく怯えるぼくは
その輝きをあなたに押し付ける
今日も きっと明日も

2025/06/11 (Wed)

[44] お別れを云うよ
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うす汚れた黄金色と藍色のすきまに
ぼくらの夢は隠れてしまった

暗いあの道の真ん中で
きみはまだ立ち尽くしたままだろうか

もう夜が明けようとしているのに
小さな星がひとつ
かなしそうにポツンと輝いてる
きっと 帰るのを忘れたんだね

ほんのりと明るい街の中を
なごりを惜しむように灯る電灯が
等間隔にぼくを見送る

ねえ こんな日を
お別れ日和と呼ぶんだろうか

うす汚れた黄金色と藍色のあのすきまに
ぼくらの夢は隠れてしまったんだよ

2025/02/15 (Sat)

[43] 駆ける 〜ピンポンに添えて〜
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

繰り返す代わり映えのない日々に
僕の足は次第に止まっていく
夢は夢だったよと 笑う日まで
あとどれくらい残っているだろう

「先に行くよ」と言った君の
淋しそうな横顔は 今もココに刺さってる

もがいても もがいても
カッコ悪さが抜けないなら
全部ぜんぶ笑い飛ばして
今を生きればいいと
声が聞こえた





繰り返す代わり映えのない明日に
ボクの身長は次第に縮んでいく
夢は夢だったよと 笑う日にさえ
太陽は微笑みかける きっと

長いトンネル 外は雷雨
独りきりの横顔が 今もココを震わせる

あがいても あがいても
悔しさが立ちはだかるなら
なにもかもを置き去りにして
今に生きればいいと
キミは泣いていた





長いトンネル 外は雷雨
「先に行くよ」と言った君の
独りきりの横顔が 今もココに刺さってる





もがいても もがいても
カッコ悪さが抜けないのは
全部ぜんぶ笑い飛ばして
過去を生きてきたせい

あがいても あがいても
悔しさが立ちはだかるのは
誰も彼も置き去りにして
明日を信じたせい





長いトンネル 外は雷雨
胸を裂いて 雲の隙間に 光が





もがいても もがいても
カッコ悪さが気にならないのは
今も僕を待ち続けてる
君がいるから

あがいても あがいても
悔しさが立ちはだかるのは
今もキミを待ち続けてる
ボクの叫び


はしゃいだり 迷ったり
まだ落ち着かない僕(キミ)だけど
いつかきっと追いつくと
信じて走ってる





それはきっと そう遠くない日

2025/01/23 (Thu)

[42] ライティングライツ
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死にたいと
願い続けて
まだ死ねない

路地裏の犬は
目脂をつけて
白昼を
そぞろ歩く

容器に陽気
器用に起用

明日も明後日も
きっと大地に
しがみつく

馬鹿馬鹿しいや


生きたいと
唱え続けて
もう満腹

路地裏の猫は
アオと鳴いて
真夜中を
駆け抜ける

捗々しいね

メメント・モリも
忘れちゃったよ

2024/09/12 (Thu)

[41] ゆりかご・ダンスホール
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

私のことばを あなたのメロディが彩る
みんなを巻き込む あの子のリズム
私たちはそれでいつも笑って
小さな部屋が ダンスホールになる

おばあちゃんも若返って
はら ナウなプレイガール
おじいちゃんは苦笑いね

このまま外に飛び出して
クラスの子も 同僚も
上司さえ巻き込んで

世界はクラブの喧騒

いつかこの子もおじいちゃんになって
やっぱりちょっと苦笑い

するのかしら なんて
気が早いわね

2024/09/01 (Sun)
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