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梅宮 蛍の部屋  〜 新着順表示 〜


[33] 網膜の中
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

やぁ、と言えば
応、と応え
そこに何のあるべきか

然りとて君は夢の飛礫
明日は帰らじ郷の粒

GO!と吼えれば
さぁ?と躱し
そこに雫の見るべきか

去れどもあなた
そこはダメだよ

2023/05/27 (Sat)

[32] 老いを美しく思う
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虫の音と風が部屋に滑り入る
ベッドに横になったまま見上げた窓の向こう
下弦の月が逆しまに居る
今日も何もなかった
明日もきっと何もない
満ちず欠けず 歳だけが過ぎる
そんな日々もそう悪くはない

風は幾分涼しくなった

2022/09/04 (Sun)

[31] 
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

鉄の匂いがする夢の中で
私は途方に暮れています
黒一色の場所に立ち
右も左も分からずに
前も後ろも分からずに
辛うじて
足の裏の硬い地によって
上下がわかるだけなのです
虫の羽音がこだまして
ここは狭くない場所なのだと知ります
なまあたたかい臭気によって
異様な光景が脳裏に浮かびますが
何も見えないので
何も分かりません
鉄の匂いがする夢の中で
そういった次第で
私は途方に暮れているのです

2023/06/20 (Tue)

[30] 
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

書きたいことも尽きたのに
書くことを辞められないでいる
これは何かの呪いだろうか

2022/06/18 (Sat)

[29] 冬の夜
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

じょんがらの
音が夜の雪片に跳ねてこの耳に届くとき
その手はもう
次の音を弾いてゐる

寒空の月
何を観る その眼で
誰を弾く その指で

知らない香りが鼻腔に迷い込んで
出て往く宛もなく
ずっと私の中に残るのだ
残ってゐるのだ

憎い人
だけど 愛しい音

だから
知らないふりをしてあげる

嗚呼
なんて なんて莫迦な夫(ひと)だろう

でも ほら
じょんがらの 音が 綺麗だから

2022/05/14 (Sat)

[28] お別れを
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跳んでゆく僕のうさぎ
あの青い空
浮かぶ白は今も笑っている

 うん、そうだね

泣き虫にお別れをして
水溜りを 僕も跳びこえる

2021/10/21 (Thu)

[27] くらがり
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暗がりに立つ電柱
半身覗くその人の ぼうとした輪郭の 黒の境界
夜の中に滲み出す あなたの内側
電灯の下 それを見る私

2021/11/04 (Thu)

[26] 幕開け
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舞う風花
あなたの頬を 移して桜
名も知らぬ木の下
はじまりのー−。

2021/03/10 (Wed)

[25] カメラ
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並列した文字に押し潰されて 私は海を漕ぐ
浮かぶ月 あれは夜の塗り忘れ
はたまた あれはピンホール
あの穴の向こうには
きっと小舟が一艘 波間に止まっていて
それが今 私として 焼き付けられているのかもしれない
上も 下も 白いも 黒いも
なにもかもが反転した世界で
誰かが今 生きているのかもしれない
その人は 何を思って私を撮影しているのだろう
きっと やはり
何かに押し潰されて ふらり 思い立ったのだろう

2021/01/23 (Sat)

[24] 夏の川遊び
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川面に昼の星が千と輝く
対岸に踊る緑は濃く
その向こうの涼しげな薄闇が好奇心を駆り立てる
灰色の礫が滑らかに微笑み
何事もないよと時が過ぎ往く

一枚の写真のような
その景色

子は静かに溺れている

2023/02/13 (Mon)
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