| 詩人:梅宮 蛍 | [投票][編集] |
括弧付けて格好つけて
話す言葉は借り物だと
言われりゃ確かにそれまでだが
貸し借りもなく
生きていけりゃあ世話は無い
誰に幾ら入ったとか
誰が幾ら取られたとかが
酒の肴にならない今の時代は その代わり
誰に何をされたとか
誰が何をやらかしたとか
そんなことが世事の話で世話も無い
括弧付けてでも
話せる言葉があるだけまだマシだろうと
笑う親父に 銚子が一本 酒の夜
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無造作に垂れ流される情報に脳がやられる
安易に解き放った言葉は宙を舞って忘却される
悪意のない毒が私を蝕む
右手が腐り落ちてシミになる
指先がシナプスを止め
灼ける陽に脊髄が呻き
また一つ 泥土に沈んだ
その 果て
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繊細な花がそこにある
緻密な歌が流れる街
其処此処にあふれる光は
僅かに影を残して 多くを照らす
例えばあなたが悲嘆にくれる時
その影はそっと寄り添うでしょう
例えばあなたが憤りに埋もれそうになった時に
踏み締めた足の下に生まれた小さな影法師のように
そして
笑い 泣き 怒り
そうして楽しむあなたの生が
僅かに影を残して また誰かを照らす
咲く 繊細な花
輝く それは あなた
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昇る煙がワンルームの部屋を流れて換気口から逃げていく
生まれる煙と 出ていく煙と
その違いはどこにある
書き出す文字と 読み込む文字と
その違いは
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ただ貴女が好きだった
ただそれだけだった
気持ちを形にしなかったことを責められるなら
形のないものを見ようとしなかったその目も責めさせてほしい
待ちきれなかった貴女を責める事が出来るなら
迎えに行かなかった僕も責められるべきなのだろう
ただ貴女が好きだった
ただそれだけだった
そこに罪がある事を知るには
僕は『人』を知らなさ過ぎた
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歩き出す早春に光を見る
希望と共に抱いたのは果てのない夢だった
落とし込んだ影がついて来るものだとは露程も思っていなかった
漫然と歩く足跡に咲く花は無い
種を蒔き忘れたと気付いた時には最果てが目に見えていた
どこまで行っても道は続く
限りある資源を踏みつぶして舗装した道は無限で
限りなく流れる時間は寿命に押し負ける
歩き出す早春に夢を見る
夢はただの夢だった
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夜のわななきに蹄鳴る
駆る痩躯はまだ知らず
きみの名を まだ聞かず
今は凍んだ風に白を吐くのみ
とうさま かあさま あにさま
どうかあの子をお守りください
朝のいななきに安堵する
夢よ見よ
きみの名を呼べる歓びを
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陳腐な芸達者
君が付けたあだ名
と言うより悪口だよね?って笑う僕に
ちゃんと褒めてるよって笑うから
まぁいいかって
思って僕は
今日も芸を披露するよ
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桃の花が ひとひら 舞い降りる
ふたひら みひら その髪に
よひら いつひら その肩に
むひら ななひら はらりと触れて
これはゆめ あなたの夢の中
花びらに あなたの笑顔が埋まる
「何か面白い事でもありましたか?」
「いいや」
たずねる私にあなたはわらう 私もわらう
「おかしな人ですね」
これはゆめ ゆめのなか あなたの夢の中
私はわらう あなたもわらう
目が覚めたとき
あなたは覚えてくれているでしょうか
あなたと笑う 私の顔を
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遠鳴りの海に風が鳴く
ヒロイックな君 術無く立ち尽くす
夜毎日毎見る残夢
悔恨の雫が胸に差す
明日に生きる雛鳥
過去に縋る老い鳥
折れた翼 飛べない庭鳥
遠鳴りの海に風が鳴く
鴎が日に映え 一声