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山崎 登重雄 の部屋


[367] 親ばか
詩人:山崎 登重雄 [投票][得票][編集]

その小さな手に 何を握りしめて 生まれて来たのだろう

体ごと震わせて 乳をせがむ 我が娘よ

命を抱く度に 心洗われて

命を抱く度に 心責められ

離れた息子たちを 愛さない訳はないけれど

男の子と女の子では こうも違うのだろうか 父親とは

その小さな手に いつの日にか約束を交わして

握っていた何かを 手放してしまうのだろうか

自分を振り返ってみても 握っていたことすら 思い出さない

生まれる前の記憶か この世に生きる術か

怒りに拳を握ることもない今では 想いの及ぶはずもない

恩義や 恩義やと 我が娘が泣く

選んでくれたこと 逢えたこと 君を抱く度に

有難いことだ 有得ないことだと 僕の胸に響き渡る

君は将来 誰の手を握るのだろうかと

今から心配しながら 嗚呼 親ばか

2010/04/17 (Sat)

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