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善田 真琴の部屋


[9] 後輩への手紙2
詩人:善田 真琴 [投票][得票][編集]


ところで、パラオの国旗を知っているだろうか。それは、水色の海に黄色の丸い月が浮かぶ図柄だ。どこかの国の国旗と似ている。しかし、その月は日出づる国に遠慮するように、真ん中ではなく少しだけ内側に寄っている。

時に殺人の道具になるから、包丁をキッチンから追放せよ、と主張する人はいない。道具に罪はなく、使う人次第だからだ。日の丸の赤は血の色で、白地は骨の色と教えるこの国の教師たちは、真実に敢えて目を瞑り嘘をつく。国も歴史の是非を正そうとはせず、積極的な広報活動もしない。だから、ほとんどの日本人は多くの事実を知らずに育つ。

しかし、右手がした善なる行いを左手にさえ知らせまいとする日本の、国家と国民に通低する小川の様に清らかで奥床しい道徳的品格を、ぼくは一方で「いと惜し」くさえ思う。日本人は自分の手柄を誇示し「ドヤ顔」する人を卑しむ。また、混んだ電車内で足を踏まれた人が反射的に「すみません」と謝る、そんな所がある。

日本は韓国に次いで自殺率が高い国だが、他殺率は世界一低い。これは、不満を他人に向けず、自らを責める国民性に起因する。ちなみに韓国は他殺率がアジア一高い。

上の自罰的傾向は、神代からのものらしく、古事記を読めばそれが良く判る。乱暴者のスサノヲの非道行為に対して姉のアマテラスは、「あれ程怒るのだから、何か理由があるのかも知れない」と自分が天の岩屋に引きこもる。そのピンチを女神アメノウズメの裸踊りと男神タジカラヲなどの協力で脱し、この世界の闇に光が再び蘇る。

サッカーや野球などスポーツを見るまでもなく、日本のお家芸は、個人ではなく、チームプレーにあり、それは古事記の時代以前から脈々と受け継がれてきたDNAであると言う事が出来る。

2012/03/05 (Mon)

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