詩人:まろふに | [投票][編集] |
風に舞うは淡い春霞
雪の残り香とそぞろたわむれて
春の訪れを待って会いに行こうか
冷たい夜風に桜並木と揺れる恋心
君の声はまるで花霞
花びらに触れたような口づけ
風も刻も見えないけれど確かに流れ
近づけられて 遠ざけられて 揺れて舞い散る恋心
宵に君をそっと連れだし
夏には輝き 秋に深まり 冬に暖め
春に芽吹かす恋心
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川沿いの道 低すぎる空
圧し潰されそうになって あわてて駆け出す
まばらな人影を避けるように歩く いつからこの街に馴染めなくなったの?
冷たい風が運んでくる どこからともなく君の噂
真冬のまっただ中 ただ立ち尽くしてる僕のこと 哀れむように
明かりの消えた窓 錠の下りたドア
カギを失くしたフリして いつもの店に走る
酔えば酔うほど思い出してばかりなのは 隣のあの子が君に似てるせいなの?
冷たい雪が隙間もなく 窓をそっと白く染めていく
まるで僕の逃げ道を 悪気もなくふさぐように
雪はやみ 朝が来る この路地にも
なんて平等に 残酷に 時を運んで
冷たい風に雪煙は舞い 景色を少しぼやけさせ
求めては傷ついた僕らの足跡も いつか消えてゆく
朝から今夜のねぐらを 探してるような僕だけど
昇り来る朝陽に雪解けを信じて もう少し生きてみるよ
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最後の言葉は「それじゃあ」だった
君は静かに車のドアを閉めていく
遠ざかる君の背中 もう僕のものじゃないと知ってても それでも
口には出せない悲しみがある 伝えきれない想いもある
「幸せに」なんて簡単には言えないよ
最後の夜は短く長くて
互いに語る言葉探しあぐねていた
涙見せぬ君の黒髪 夜明けに差し込んだひかりに濡れてた
黙って車降りて行くのを 待ってるだけの僕のずるさを
許してくれたのは最後の君の優しさ
ドアのロックを外す音が聞こえた
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伝える言葉 とうに失くして
止みそうもない雨 ふたり見てるだけ
歩道の信号 点滅がにじむ
そろそろ行くねと ゆっくり君が顔を上げる
君のその長いまつげが光って見えたのは
雨だろうか それとも…
あの日ふたり並んで肩を濡らした傘が遠ざかる
今はひとりだけの後ろ姿 包み隠して
冷たい雨はまだ 止みそうもない
どうか 風邪などひいたりしないように
僕は止むまで ここにいることにする
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形のないものそれが愛 頭じゃ分かってるけど
ピカピカ光る指輪を眺め ほくそ笑んだり
ふたり並んで笑った写真をカバンの奥に
電話やメールの後はすごく会いたくなるよ
ねぇ今すぐ会おう 目の前で笑う ふたり
それこそが愛
不確かなものってそれが愛 理屈じゃ分かってるけど
会話の途中 あなたの視線 どこ向いてるの
気のない返事にすぐに腹を立てたり
ケンカの後はいつでもすぐに謝りたいの
ねぇ夕陽を見に行こう つないだ手の温もり
それこそが愛
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愛してるとか愛されてるとか
そういうのがちょっと億劫
それなりのプレゼントと引き替えに
とびきりのいいオンナに変わりゃ万歳
こんな夜に限って君からの電話が鳴る
でも出ずにはいられない
嫉妬が燃える 誰かが狂う
なんて無駄なエネルギー
その燃えさかる情熱ってヤツを
ちょっとくらい恵まれない人にあげたらどうですか
昨夜はどんなだ 今夜もあいかわらず
下品に街をうろついて
下手なピストルも数撃ちゃあたるさ
今夜のねぐらを確保しろ
誰もがみな欲しがる その純愛ってヤツは
きっと誰かを壊すよ
嫉妬が燃える 僕も狂う
なんて理不尽なエネルギー
でもこの矛盾に燃える炎がなけりゃ
この寒い夜に誰も愛せやしない
嫉妬が燃える 誰もが狂う
きらびやかに赤く染まる
浮かれムードの街に酔いながら
きっとフラフラたぶんいつもの道を
どの面下げて 君に会いに行く
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完全武装のメイク決めて お手軽に別人になったつもり
へばりついた笑顔見せて 単語だけで会話する
言いたいことはどんどん溜まりお持ち帰り
真夜中にメールでばらまき おしまい
ハダカならさらせるのに
ココロまではさらせないの
見たいのはそれじゃないよ
心からの君の喜怒哀楽
雑誌の切り抜きみたいな 他人仕立ての個性まとい
流行りモノで友達に差を付ければ横並び
写真みたいにキレイな顔だけで
生きてきていくなんて そりゃ不可能
カラダならひらけるのに
ココロまではひらけないの
見たいのはそこじゃないよ
胸の奥からの喜怒哀楽
素肌なら触れあうのに
ココロまでさわれないの
快感に逃げないで
ほらキスもぐっと堪えて
目と目を合わせよう
あふれてくるでしょう喜怒哀楽
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愛してるなんて言ってたのに
今じゃ名前すら思い出せない
あのカフェを教えてくれたんだったけ?
恋してたのは確かに間違いじゃない
くちびる カラダ 夜ごと折り重ねて
だけど肌のわずかな隙間 心がはみ出ていた
あなたのような人は わたし以外の
女じゃとてもつきあいきれないわと
言い残し街角に消えたね
恋してたのは確かに間違いじゃない
今頃は誰かの腕の中 幸せかい?
こうして独りに戻ってみると 無性に誰かが恋しい
恋に落ちればいつでも夢の中で
覚めたらきっと何もかも忘れている
それでも心の痛む唄がある
確かに誰かと歩いていた
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あなたがいなきゃ生きていけないと無邪気に言えた頃を
思い出すことも最近はめっきりない
心変わりを知った夜は 泣いたもんだよ 心の底から
だけど三日も経てば涙も悲しみも尽き果て気づいた
誰も彼女も悪くない ただ思うままに生きているだけ
無様に自分を預けてしまった俺が愚かなだけ
明け方 気だるい微睡みの中
心からあなたを愛してた
頃のような悪夢にうなされて
求め合っていても愛が何を与えてくれる?
フェイクだと知りながら 今日も誰かを抱いているんだろう
少しでもマシな今を取り戻したいのさ
結局は自分自身を癒すだけのカラクリ それだけのこと
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真夏の夜空に大輪の花が咲く
鮮やかに光るたびに君の横顔照らす
浴衣のうなじがいつにも増してキレイで
言いかけた僕の言葉も響く音に消えていく
許されないことより自由の方が多いのに
ただ君に触れられないだけで こんなにも胸が苦しい
君の背中を抱きたい
蒸し暑い夏の夜が永遠に続くかと
思ったその時 君が振り向いた
花火に照らされて呟いた君の言葉も
繰り返し響いてくる音にかき消された
楽になれる道はいくらでもあるはずなのに
どうして僕はここに立ち尽くしている
花火はいつしか終わった
君の背中も見えない