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右色の部屋


[97] 雨上がりの水曜日:柏原 たまき
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小さくて緑色のアマガエルを
手のひらに乗せる

良く見るとグロテスクだけど
良く見ないからカワイイ

アマガエルの背景になっている
少しだけ遠くの景色を見て
少しだけ昔を思い出す

小さい頃
カエルが苦手で
アマガエルなんかは見ただけで泣く始末だった

それなのに
今はこうして手のひらの上に乗せて
別に絵を書くわけでも何でもないのに
じっくりモデルにしている

あの頃
なんでカエルが苦手だったのか怖かったのか
忘れてしまった

その忘却は寂しいことなのだろうか
私には分からない


簡単な答えなんて要らない

一緒に考えて

分からないって言ってほしい


アマガエルは何も言わずに去った

一人になった私は
この気持ちを
誰かに伝えたかった

懐かしくて寂しくて、でも不思議と嫌じゃなくて・・・

私は久しぶりに
携帯電話の電源を入れた

2008/07/20 (Sun)

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