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タコスの部屋


[1] 博物館のコンパニオン
詩人:タコス [投票][編集]

(前略)
 
 いつの間にか巨大な地下街にいる(通路は明るい白系でまとめられており、各所に設けられた天窓から太陽の光を感じる。未来的。スロープが巧みでB1、B2といった階の区別が得になく曖昧に造られている。
そのまま博物館(地下)に僕の錆び付いたおもちゃの電動銃を預け展示してもらう。そこから自転車に乗って地上に出る。

 入り込んだ高層ビルの隙間にふと、古びれた下町の一角が現れる。
(中略)おばさんは「地下を通ってくれ」と言う。 

(中略)

博物館へ続く揺るやかな登りのスロープでコンパニオンがチラシを配っている。ジョギングしながらチラシを受け取ろうとするが落してしまい、止まってそれを拾ってから「すいません。博物館から自転車で出たいのですが、どの通路を通ればいいですか?」と聞くと、博物館の中まで案内してくれながら「8時(朝)からはこの通路(博物館から外の広場へ通じるメイン通路)を通れます」と教えてくれる。壁の時計を見ると7:50だったがもう自転車で通る人がいたので、「じゃ、もういいですね?」と言うと「まあいいでしょう」という感じだ。

「ここ(博物館)も大きくなりまして、(ロビー中央の案内の女性が何人かいるブースを指して)あそこにはなんとか(忘れた)ができています。」と話すコンパニオン。すかさず「はい。昔は体育館だったのに、えらい変わり様ですよね。」と返す。
「預けているものがあるんですが」と言い、番号と名前を言うと、リストを見ながらコンパニオンは「なんとか(預けている銃の名前)ですね?」と聞くので、僕はすぐそこにある棚に置かれたその電動銃を取り「これです」と言って見せる。そして銃を返してもらい3万円(展示協力のお礼)を受け取る。コンパニオンが銃に興味を示すので貸してあげると”ウイーン”という音をさせている。僕は恥ずかしそうに「電動式なんです。それ本当に玩具なんですよ。」と言う。(このコンパニオン感じが良いのでナンパしようかと思う。)

 博物館を少し出た所にあるお店には、栗色か金の髪で裸の天使のようなキャラクターのグッズが所狭しと並んでいる。白い体に乳首だけが鮮やかな赤で塗られているこの「なんとか(忘れた)」というキャラクターは現代人の、特に男性のハートを掴んで止まない。僕も「あっこれいいな」と思う。
 

2006/03/19 (Sun)

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