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ああ
どうりで
今日の東京は
やたら甘い匂いがするなと
訝しんでいたところ
君は相変わらず
ガラムなんて吸っていて
夢売り歩いてるからさ
あたしは蟻みたいに
砂糖に群がったんだ
君は相変わらず
明るい色彩なんて使うから
灰色の街で浮いてたよ
それにあたしが
どれだけ救われているか
君は知らなくていいからね
ああ
だからか
今日の東京は
やたら暖かいと
訝しんでいたところ
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季節外れに模様替え
言い訳は
季節の節目は
何かと多忙
季節外れに模様替え
要は
思い出の精算
強いられただけ
何を思ったか
らしくない
白いワンピース
あげるか売るか
捨てようか
君と初めて会った日
誉められた
白いワンピース
結局
タンスの奥に
押し込んだ
季節外れに模様替え
また今度
このタンスを開けた時
君の事を思い出す
季節外れに模様替え
悪いけど
その時あたしの隣には
違った素敵な人がいるはず
何着ていけばいいの
なんて
半泣きで引っ掻きまわすのさ
うっかり引っ張り出した
白いワンピースを
改めてしまうのさ
忘れたくはないから
捨てたりしないよ
引きずりたくはないから
着たりしないよ
季節外れに模様替え
だって
あたしはめげずに
人を愛して生きるのだから
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サムネイルは要らない
構想は
頭の中に在る
ダイアリーは要らない
思い出は
胸の中に在る
デジタルだろうが
カメラは要らない
その一瞬は
眼に焼き付いている
ノートも
ボイスレコーダーも不要
CDもプレーヤーも
実はさほど必要ない
大切な言葉は
その音は
声は
耳に残ってる
寸分くらい
違ったっていいじゃないか
どうしたって
ちゃんと此処に在るんだ
笑い転げたって
泣き喚いたって
ちゃんと此処に在るんだ
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月夜に響く足音に
誰もが恐怖を楽しんで
何故だろう
その日だけは
寂しそうに
聞こえたから
不器用だねぇ
なんて
間の抜けた
声かけて
物好きの醍醐味を
台無しにしてやったんだ
せめて
これくらい
要領良く生きてみろ
説教なんだか
馬鹿にしてんのか
とにかく本心は
泣いていたのさ
中途半端な
形の月が
やけに綺麗で
やけに輝いて
とにかく本心は
泣いていたのさ
その足音は
迷いがなくて
そのくせ
寂しそうだから
愛しくて
愛しくて
堪らなかったのさ
月夜に響く足音に
誰もが恐怖を楽しんで
二人で
駆け出してみたのさ
恐がらせてやろうと
笑いながら
泣いたのさ
月夜に響く足音は
はみ出し者の泣き声さ
どこまでも
迷いなく走ろう
いつまでも
泣きながら笑おう
生憎
もう一人じゃ
ないのだから
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追伸
幸せをありがとう
幸せを知れた
あたしは
大層な
幸せ者でした
追伸
幸せをありがとう
君が呟いた
「幸せ」という言葉が
紛れもなく
あたしの幸せでした
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マグニチュード7.0
久々に大型来やがった
マグニチュード7.0
自我は倒壊寸前です
反則でしょうが
そんな言葉は
血液交通量
良好過ぎて
紳士じゃないよ
そんな行為は
余震直撃
救済を求む
マグニチュード7.0
沿岸は津波にご注意を
マグニチュード7.0
震源地は半径3cm
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いい感じに
生きてみようかな
だからこんな夜は
ジャズでも聴いて
早めに寝るよ
笑い飛ばして
乗り越えていこうかな
だからこんな日は
飾らないお店で
お酒を戴くよ
観点を変えて
理解を試みようかな
だからこんなあたしを
煙草一本で
なだめすかしてみるのさ
大変
面倒なのだけどね
くせになるのさ
生きるって事は
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源氏名
なな
あたし似の
風俗嬢
早朝
ホストに
深夜
黒服に
間違えられて
いい迷惑さ
源氏名
なな
あたし似の
風俗嬢
どんな
生き方
すんのかね
想像を
無駄にする
なかなか
手強い女
源氏名
なな
以来
あたしの偽名
見知らぬ
男には
そう
名乗ることに
したよ
源氏名
なな
あたし似の
風俗嬢
夜を
制したら
一杯
飲みにでも
参りませんか
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焦点を合わせ過ぎて
君の背後がぼやけたよ
当然の理屈
フォトグラムには
欠かせないテクニックさ
焦点を合わせ過ぎて
君の周りが褪せてった
物理的に正確
デッサンするならば
基本と言えるルールさ
しかし
言い訳として
良いわけないね
空気感とか
どうでもいいね
焦点を合わせ過ぎて
君の背後がぼやけたよ
単に
背負ったものまで
共有したくなかったのさ
焦点を合わせ過ぎて
君の周りが褪せてった
要は
取り囲む環境に
興味が無くて
自分勝手過ぎる程に
君しか見ようと
しなかったのさ
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几帳面に
心臓を撃ち抜いた言葉が
路地裏の落書きに
めり込んだ
あの時
あたしは死んだのさ
足が踏みしめたものは
冷たいコンクリートじゃなくて
舞台が終わった後の
がらんとした空気
そんなのに似てた
路地裏の落書きが
ありえない彩度で
笑ってる
撃ち返す言葉など
たくさんあったのにね
肝心な時に
ジャムっちゃって
何も言えなかったのさ
路地裏の落書きが
適わない明度で
笑ってる
君には見せなかったけど
血はきちんと
流れたのさ
君が去った路地裏
赤くはない血が
きちんと流れたのさ