詩人:カナリア | [投票][編集] |
君が垂らしたリボンの
終わり
あの日巻き取った糸の
終わり
君と僕を張り合わせた
セロハンテープの白い
終わり
彼が泳いだ
海底40メートル
あの娘が歌う
優しさの終止譜
貴方が握り潰したのは
煙草の火種だったかしら?
人は誰しも終わりを求める旅人
寂しい半面
終わりは安らぎを…
人は誰しも終わりに向かう旅人
だからこそ
今を生きる
ねぇ?
もし君が
永遠を願い
終わりなき旅を
捜し求めるのであれば
ねぇ?
僕は君に
始まりを用意して待っていようね
終わりの後には
必ず“始まる”
詩人:カナリア | [投票][編集] |
今宵舞う
ガルティンの独り言は
ベルベットの帽子に集められた
赤い小さなクランベリー
嬉しそうな少女の指は
惜し気もなく
帰る道先
出会う皆に
その赤い実
分け与える
家に着く頃には
帽子は空に
焼けたCheeseTartは
彩り持てず
それでも
ベルベット注いでみれば
立ち込めるは
“優しさ”の香り
溢れ出すは
“愉快”な話
今宵舞う
ガルティンの独り言
道行く人が
集う小屋よ
ワインの樽さえ
音を奏で
囃し立てるは
スペインの情熱
今宵舞う
ガルティン
ベルベットの帽子には
愛を詰め…
詩人:カナリア | [投票][編集] |
信号が赤になった事とか
ゴミ捨ての時間に
二週連続間に合わんかった事とか
あんぱんのあんが
こしあんじゃなかった事とか
そんなん
どうでもいいんですけど…
それでもそん時は
煮え繰り返るほど
怒ってたり
ほんま
どうでもいいんですけど
でもね
そんな事で感情むき出しにすな言われましても…
そんなん逆に
花が咲いたぐらいじゃ
喜ばれへんで…?
まぁ
信号が赤になったら
待ちゃぁええ
ゴミ捨てに間に合わなかったら
持ちかえりゃぁええ
あんぱんがこしあんじゃなかったら…
あかん
こりゃ譲れへんわ
ほな
つぶをこせばええか…
花が咲いたら笑え
雨が降ったら唄え
涙が零れたら叫べ
きっと
明日は晴れる
晴れんかったら…
まぁ
しゃぁないんでない?
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独り
女
願う…
腹が減っては仕事ができぬ
嗚呼 神よ
どうか私の腹を満たしておくれ
独り
女
思う…
「金がすべてだ」とは思わないが
「すべてが金じゃない」と言われたら…
「やっぱり金だろう」
独り
女
飾る…
美しく在る為
もはや自己満
それでも着飾る
一流ブランド
独り
女
賭ける…
パチンコ
競馬
ひとつの夢
独り
女
嘆く…
強く生まれてきてしまった事
独りが気楽な事
極め付けは
男がいなくても平気な事…
独り
女
ビバ☆行き遅れ!!
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きみは
わたしにあうために
うまれてきたのよ
きみは
あのがらすけーすに
ぴったりとおしりをくっつけて
わたしをまっていたの
きんいろのふわふわを
わたしはこわれないようにそっと…
そっとだきしめた
はるははじめておさんぽにでかけたね
さくらのはなびら
まっくろのはなにくっついて
ちょっとけげんそうな
きみのかお
おかしくてわらっちゃったよ
なつにはうみにいったね
おふろはこわがるくせに…ちょっとまってよ
そんなにはしらないで
なんども
なんどもふりかえるきみ
なぁに?
おいかけっこでも
しているつもりなの?
あきはつきのした
あの なみきみち
きみは
ふみしめたおちばのおとにおどろいていたね
かさかさ
かさかさ…
きみはたのしくなって
おちばのうえで
ゆかいにだんす
ふゆはふとんにくるまり
ふたりであさねぼう
きみがくっついてると
あったかくて
ぽかぽかで
くっついていれば
さむくないよね
きみのおなかにむしがいるんだって
いままできがつかないで
ごめんね
いっぱいいっぱい
おしゃべりしていたつもりなのに…
おもえば…
きみはひとことも
しゃべっていなかったんだものね
いたかったの?
ぽんぽんいたくて
くるしかったの?
だいすきなのに
きづいてあげられなくて
ごめんね
きみはわたしにあうためにうまれてきたのよ
わたしにあいされるために
…わたしがきみに
あいされるため…かな
ごめんね
ごめんね
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あれは十五夜の
すすき唄う
秋の風
慌てて履いた靴は
恋人を失った
“老妻”
片割れは玄関先に…
貴方様と過ごした
十数年
ぽつんと残された
夫婦の茶碗
誠に愛した貴方様は
呆気なく逝ってしまわれて
どうぞ迷惑掛けてくださいな…
最期に“いい人”になる
貴方様は憎い御方
あれは十五夜の
兎騒めく
秋の夜更け
ただ貴方様にお会いしたく
ただ…私は
夢を見るのです
夢を見るのです
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破れたストール
引きずりながら
踵を無くした
ゴルベが彷徨う
枯れたアスファルト
煌めきのネオン
ショーウィンドウで遮られた
チキンのご馳走
大きな箱の中身は
誰への贈り物?
街が色付く
人は騒ぎだす
その隙間の暗やみに
腹を空かせた猫だけが
私の姿
見つめているのよ
淋しさと一緒に
ポケットの小銭握り締めた
今宵はクリスマス
ねぇ?
お願いよ
眠りから覚めた私とあの猫の元にも
どうかひとかけらの
パンを頂戴
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駆け出した時間
狂い始めた旋律
今は一体?
あれから何年?
むせる程の甘い香りは
桜舞散らせた春だろう
閉めきった部屋に充満した熟し過ぎた酸っぱい匂い
夏を焦がし
恋に焦がれた
枯葉の如く寒い秋は
唄に耽り
唄に溺れ
これからまだ
冷たい冬が
くるんでしょうかね
幻想に想い
手を伸ばした先
人の温もり触れることできず
泣き虫に体中食い散らかされて
だけどハートだけは
守りたかったよ
嘘でも何でも
ありふれた言葉並べれば
空にすら
嫌われ
落ち始めた半音
知るべき雑音
今は一体?
あれから何年?
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嗚呼
女神よ
パサージュよ
どうか私に微笑んでおくれ
僅かばかしのパンとチーズじゃ
今宵の宴に
足を踏み入れる事すら許されないのかい?
嗚呼
プラチナの煌めき
碧の戦士よ
すべてを貴方に差し出す私を
卑下した眼差し
捨てておくれ
ただ寒さをしのぐ
破れかけた毛布でいい
どうかこの手に…
貴方はそんな私に
“馬鹿みたい”と言えようか?
貴方はそんな私に
“お金じゃない”と言えようか?
どうせなら…
愉快がいい
豪華がいい
一輪の花より大輪の花束を…
こう願う私は下級の人間であろうか?
嗚呼
聖母マリア
どうか私を許して下さい
欲に駆られし私の腕は
どうか十字の矛先
ナイフの様な微笑みで
打ち抜いておくれ