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万田 海斗の部屋


[169] あいるさんとのコラボ 10
詩人:万田 海斗 [投票][得票][編集]

「初恋を 追いかけて」



見知らぬ土地で
初恋の面影を 探して回る


あなたがいたから 夢があった



すれ違う学生服に
ボタンの白は まぶしく

あなたもどこかで
読んでくれることを願う


ぼくの青春に似た小説は

本屋のかなしみロマンスのコーナーに

ひっそり置いてあります




細い、華奢な人の手が届きやすい片隅に




静かに笑い合える時間を

何度か持てる秋を待ちたいな



たとえ読みきらない初恋でも、

シオリは挟まないよ



千もの辛い夜が
悲しく泣くから、


ぶれてにじんだ文字と

揺れる乙女の姿を

小憎らしくも かわゆさのリーダーで闘わせたい





読みきりの初恋を一気に読み上げた、

夏の炎の、思い上がりの懐かしさ






いつだって最初で最後の恋だ



どの一冊にも温度があって

ページをめくるたびに景色が巡るから

おいしいドリンクや
花束クッキーと同じ甘さだね





でも、逢いたいよ




切なく、




春も

夏も

秋も、

君も


懐かしさと
新鮮味の共存



セピア色した、新しい朝の息吹さ




透けるよな光浴びて、

君がブラウス着ると、

夏雲の白が

いつまでも背表紙に焼き付いて、

僕らは風の旅人と話し込める







今、手元のグラスの水滴に芽吹く

飲み干せる水面に

反射した風も まぶしく




あなたもどこかで

読んでくれることを願う


この、うすく 細く 長い、 ときめき





これからも、また、

何度も出会い直そうよ



きっとだよー

2008/08/06 (Wed)

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