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桃鈴の部屋


[6] 〜禁忌の想い〜
詩人:桃鈴 [投票][編集]



どこまでも澄んだその人には
汚れなんてないと思っていた

全ての悩み,憤り弾いてしまうから
あんな表情で笑えるのだと

“苦シイ……”と言って一人刹那に泣いたその人に

計り知れない強さ,
儚なげな弱さを垣間見た

『全て奪ってしまいたい』
それは不埒な事ですか?

『それならばいっそ』と
汚したくなるのはこれは罪な事ですか?

美しく咲き乱れていた花は
その茎を折ってしまっても
けれどそう美しさの損なうことはありませんでした

『この手で殺めてしまいたい』
それは禁忌の想いですか?

だけど『この手で守りたい』
この矛盾をどうかき消せばいいのでしょう?

誰か教えて下さい。

空を舞う風の如く
何にも捕らわれる事ない人

それならばどうやって体温をあなたに伝えればいい?

瞬間に問う恐ろしさ“コノママハ続カナイ”

この身の朽ち果ててゆくがままに
無力な頭は
あなたでさえも忘れていってしまえるのでしょうか

天に願い星を待ち
その営みの中に消えるのでしょうか

どこまでも澄んだその人は
誰かの造り上げた“真実”を
それと知りつつも自らの信じた道を歩みました

後の世に問う本当の真実
あるいはそれさえも歪められているのかもしれない

それでも自らの信じた道を歩みました

どんなに罵られても
例え誰に罵られても


『全て奪ってしまいたい』
それは不埒な事ですか?
『この手で殺めてしまいたい』
それは禁忌の想いですか?
だけど『この手で守りたい』
相反する想いはどうすればいいでしょう


誰か教えてください。




2007/05/12 (Sat)

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