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本来もっと単純なところで
放っておいても生き
放っておいても死ぬ
おおまかに言えば
そんな生き物であったような気がするのに
すっかり構われる事に
慣れてしまったから人は
やたらに寂しい なんて
思うのだろうね
識ってしまって
そういえば、あなたには
一度口に出してしまった事あるものね
私もすっかり甘えて
構われてしまったのだろうね
でなければ此処に
あなた なんて
書いてはいないものね
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男をダメにする女がいるように
女をダメにする男も勿論いて
わかってるけど…
なんて言わないで
人生の終わりにでも
立ってるみたいな口調で
惨めにしてくれるだけの
悲しい愛しい人なんて
サッサと
気持ちよく捨てよう
自分の置き方を変えれば
きっと心からまた笑える
ところ変われば各々また
うまく作用する
居場所が違うの
そんなに打ちのめされてしまって
自分の価値をも
見出だせなくなるようでは
誰に
愛してもらえるというの
誰を
愛するというの
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盆前の暗い海
入ってみたら
意外に怖くなかった
まだ日焼けなんて
気にする歳ではなかったが
昼間の喧騒もなく
汚物なんか気にならないし
何より途端に
水が抵抗を増して
液体が少し固体化して
その重みが心地よかった
母親の胎内は
こんな感じ
だったかも
月は綺麗で
背泳ぎが出来ない自分を
呪うほどに
どうして独りだなんて
あの時は思ったのだろう
アナタも
お風呂に入るとき
照明消してみて下さい
月の代わりに
蝋燭でも立てて
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核爆発がいい
そしたら、あなたを庇って
一瞬で
一緒に
灰塵になりましょう
あぁでもどちらかといや、
私達に入るモノあれば
伐って切って
滅多斬りにしてしまいたい
そうして二人だけになって
あなたがどんなに恐ろしそうにしたって
もう私しかおりませんから
未来永劫愛でる覚悟を。
そのくらいのつもりで
私を みる
と、言いましたか
恋が愛に変わった時
互いの怖れも
増殖します
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守れぬ約束はしないアナタ
青いバラの
TV中継を見終えて
『コレ、買ってあげるね』 と言いました
青は好き
でも
バラは特別
好きでもなかったので
即座に
『いらない』
と言いました
ん!?確か…
「2007年市場に出ます…」
私は急いで
『一本買って』
と言いました
アナタが静かに笑ったので
なんだか
とっても幸せになり
私も一緒に笑いました
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閉められる扉の微かな音
その静かな行いに
すがる余地の無い事を知る
せめて勢いよく解り易く
音を立て
感情あらわ
閉ざしてくれたならば
文句の一つも言いながら
追い掛ける事できたろうか
後ろ姿と
静寂だけ
残された
もう二度と開けれない扉
その向こうは
もう、空虚で
ただいま
なんて返ってこない
戻らない
を知りながら
見つめ続けて動けない
終わりなんて滑稽なもの
そんな夢ばかり見る
一緒の夢を見るはずではなかったの?
どちらが夢なのか
区別がつかないとこにきた
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人の意思なんて
操作できないのだから
当然
その人の
その人生に
入ることは困難で
せめてどうにか出来そうな
自分の意志くらい
限りなく
近いところへ
常に置いて
きてたつもり
数えきれない
選択が重なり
造っていく人生
自分で選択の幅を
狭めてしまうような
生き方はしたくない
したくなかった
もうこの先は
しないから
私は
私に生きます
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踏み込めてなかったことを
自分が
踏み込もうとしてなかった
こととして気づく
護身ですか
単純なことさえ
複雑化して
怖い
などと ほざくのは
見せかけの
誠意ない戯言に過ぎぬ
私欲を離れろ、と
虫酸が走った
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親に感謝しないと
誉め言葉のような侮蔑で
私を抱いた男の何人かが言ったわ
おかあさん
父しか知らないらしい
貴女はまるで修道女なのに
私は男を悦ばせるのが得意
泣いてばかりいるのを影で見てたから
お酒を一滴も飲めない貴女の枕元に
私の好きな禁断のコーラと
父の隠してるお酒を置いた
翌朝ちっともお酒は減ってなかったけど
コーラは減っていて
悲しいような嬉しいような
貴女は今でも飲めなくて
酒に逃げてるあの人を羨ましがるけど
私はそんな貴女が羨ましい
荒んだ中でも貴女は強くて
時々、私達が見えなくなるくらいに弱くて可愛くて
あなたのそんなとこが
少しでも遺伝してるとよいのにな
何と言われても
守りたいものが出来たのよ
おかあさん