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緋文字の部屋


[105] 子供の時間に
詩人:緋文字 [投票][編集]

目に残るのは

塗り重ねられた
わざとらしい
水色

踏んだあとに出来た
触ると剥がれる
赤錆色


用務員のおじさんが
用具箱にボールを集めて

鉄柵門に
金色の大きな錠前を掛ける

細く小さい私たちは
隅のほうの隙間から
スルリと入って

思う存分に
カンカン
鳴らして登っては滑って

貝殻混じりの砂場に
尻をつく

砂遊びするのにも
ビニール手袋が要った子は

滑るのが少し怖い、
と言って

暗がりでよけいに光る
砂の中のモノを
目敏く拾い集めては

ニコニコと笑ってみせた

戦利品の様に手袋につめて

よく
駄菓子を買いに行ったよね

君と遊んでた理由はソレさ

だからこうして
酒を奢る

2005/10/16 (Sun)

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