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未知の部屋


[229] 遠い日の少年
詩人:未知 [投票][編集]


吐いて捨てるほど
ありふれた"個性"だと
君は少し投げやりに言った

さまよう視線は定まることがない

それは君の人生にも似た
荒くれた日の海の
航海のよう

だからどうしたっていうの?

...会話はつづかない

君はお気に召さないものを
すべて排除しなきゃ
気が済まないの?

たとえば吐いて捨てるほど
ありふれた"個性"だったとして
目新しいことは
ないかもしれない

でも特別なんだ

君の眼にありふれたように映る
その有象無象は
ひとつひとつが確実に
違う形をしているんだ

別々の生命体なんだ

それはとってもspecialなこと
奇跡としか思えないほどの
凄い確率で生命が誕生して
子孫は繁栄しつづけて
僕らはその一端で
この時代このときに
ここで巡り合っている
僕らが出逢えたのだって
凄い確率だろう?!

...なんて話しはじめたら
君は酷く煙たそうな顔

ありふれた個性という名で
君が切り捨てるとしたら
それは彼女のすべてだよ

冷めた毒ほどイタいもんはない

表情から滲み出て
感情から溢れ出して
君の言動が
ひとつひとつの眼光が

あのとき彼女を痛めつけたんだよ

ありふれた個性がどうしたって?
ありふれてない個性が
なんだって?

君は自分だけを特別だと思ってる

...確かに君も特別だけど。

それは自分にとっては
自分がとりわけ可愛くて
いちばん特別というだけ

2015/02/10 (Tue)

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