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未知の部屋


[260] ガランドウ
詩人:未知 [投票][得票][編集]

必死になって勝ち得たようで
実はただの錯覚だった

本当はもっと色々なことが
その指の隙間から
こぼれおちていたのに

足元のことには目もくれず
彼は遠い高みだけを
目指していたから

風を読み間違えて
あっという間に
知らない場所に漂流した

富や名声や肩書きや
虚飾にまみれた日常と

やがて独り歩きして
消化しきれないほどの
たくさんの嘘と秘密

空虚な現実
千切れた自己顕示欲
いまはもう何も
なんにも残っていないと

肩を落として
涙も枯れ果てた彼

いや、あるじゃないか
たったひとつ
ただひとつの生命の音

その器を満たすもの

あるべき場所に常にあって
ぞんざいにしても文句も言わず
必ずそこで微笑むもの

生き物すべてが持っているもの。

死に物狂いと吐いて笑うが
その崖っぷちから見る光景を
他人は知らないだけなんだ

運命なんて放っておけよ!

痛みがくれた新しい理由
慈悲深い彼女の夢をみよう



2015/02/23 (Mon)

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