詩人:凜一 | [投票][編集] |
追いかけることだけを
繰り返していく
つまらない日々に
夜明けを怨んだ
永遠に夜だけでいい
なにも知らずに
眠っていられればいい
そうすれば
朝焼けの眩しさも
涙も
君への想いも
憶えて泣かずに済んだのに
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私ね
染まるのは好きじゃない
染めるのは好きだけど
だから
どうしても自分の手で染めてしまいたかった
染まる前に
彼女は切々と
それでいて何でもないことのように
僕に絶望を告げた
知っていてあの男に抱かれたのだ
感染したら終わりだと
知っていてあの男から
死を譲り受けたのだ
僕は彼女の言葉が全く分からないでいたけれど
誰よりも理解できるような気もした
僕も
彼女に染められてしまいたかった
だから
彼女の手を引いてベッドに横たわった
コンドームはいらなかった
幾度でも願うよ
幾度でも絶望を受け入れる
消えない染みを刻もう
この胸に
永遠に消えない染みを
永遠につづく汚れを
君の手で
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時は流れる
思い出を風化させるように
忘れたい過去と
失くしたくない愛情なんて
関係なしに
流れ続けていく
紺碧の空のむこう
走る白波のむこう
僕は願う
あの日に帰りたい
けれども時間は一方通行で
僕らは時と競争なんて
できるはずもなく
ただ涙を流して
すべてを時に託して
忘れていくしか
できないんだ
そんな事実に苦笑しながら
僕はそっと
砂時計を逆さにした
この金色の砂と共に
過去をすべて手に入れて
もう一度
君を強く抱きしめたい
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僕らは
「時」という名の海に
すべてを任せて
流され続けている
時には大切なものを失い
流れに逆らって取り返そうとするけれど
潮の満ち引きは速く
抱き続けた想いさえ
置き去りにして
また時に身を委ね
諦めと後悔を繰り返す
そして誰もがいつか気付く
「この海は涙だ」
誰かが堪え切れず流した
幾千もの涙が
海となり
語っているのだ
幾度も足をとられ
服の裾は濡れて重く
引きずって歩くことしか
できないけれど
それでも確かに生きている
「今」を
どうか大切にして
泣いてくれ、と
僕はこの広い広い海で
どれだけの想いを手放しただろう
それもいつか
海の一部となり
時となり
誰かの生きる証の
ひとつになっていくのだ
果てなき地平線を臨む
僕はいつだって一人だけど
この海原で
僕は独りではないから
生きていけるよ
涙をこえて
時には溺れて
すべてを失っても
誰かの痛みが
支え続けてくれるから
僕は叫ぶ
涙は海となり
誰かを支える糧になる
そう信じて
僕は地平線の向こうへ
生きていくのだ
時という名の海に抱かれて