詩人:凜一 | [投票][編集] |
強くなりたいと思った
君を守れるように
優しくなりたいと思った
君を傷つけないように
君が笑ってくれるように
君が泣ける場所があるように
君が触れてくれるように
試行錯誤している
今の僕を
愛してくれるというなら
変わらずにいたいと思った
離さないように強く抱きしめる
君が苦しくないように優しく抱きしめる
中途半端な腕でいい
君が愛した僕でいい
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たとえば
この恋がダメになって
あなたと離れてしまって
神様が
あなたの代わりを用意してくれたとしても
あたしはずっと
あなたしか見ないでしょう
たとえば
あなたがほかの誰かを愛して
あたしを見てくれなくなったとしても
あたしには
あなたしかいないでしょう
ずっとこの痛みと付き合っていく
だから
神様
代わりなんていらないから
そばにいさせてください
ずっと
ずっと
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人生にも恋にも
誰も教科書なんて作ってくれなかったから
手探りで探すしかなかった
あなたの心
間違ったものを掴んでも
間違いだと気付けなかった
微熱におかされていた
幼い恋心
どれだけ好きと言えば
この痛みは伝わっただろう
あなたに会えて
本当にうれしくて幸せで
どうしようもなかったこと
どうすればうまく伝わったんだろう
もっと大人になってから出会っていたなら
あなたはまだあたしを好きでいてくれたのかな
あなたの「おはよう」と
「おやすみ」が好きだった
あなたの手の温もりが
大切だった
けれども
同じ気持ちで「おはよう」と言えなかった
「おやすみ」と言えなかった
同じ温度を分け合えなかったから
あたしはまた
意味のない「こんにちは」だけの日々に帰っていく
どこに行っても
何をしてても
あたしにはまだ
あなた以上のものなんてないから
この微熱は
いつまでもきっと
下がらないでしょう
できることなら
あなたのそばでずっと
患っていたかったよ
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君のまっすぐな背骨を
遠くから指でなぞった
僕の曲がった背中を
そっと撫でて
ため息をついた
凜とした君と
歪んだ僕
最初から
うまく重ならないように出来ていたんだ
最初から
わかっていたんだ
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人との距離が近すぎる世界に怯えた
心の中まで見られてしまいそうな距離が怖くなった
あの日の痛み
堪えるしかなかった悔しさ
僻み、嫉み、私のすべて
知られたくなくて
けれども吐き出したくて
小さく泣いている声が
聞こえてしまうから
世界は弱虫の動物園になってしまった
こんな壊れた檻のなかでは泣けない
冷たい目で私を見ている人がいるから
居場所がほしい
笑っているけど本当は苦しい
分かってもらえない
平気なわけない
死にたくなる時だってある
助けて
どうか私を砂漠に捨てて
泣き叫んでも
裸になっても
何にもとらわれないように
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私にできることってなんだろう
そんなこと本当にあるの
そう言って
分からない顔をする
君は全然わかってない
たとえば僕が淋しい時
すぐにかけつけて
頭をなでてくれた
たとえば僕が涙する時
ただ傍にいて一緒に泣いてくれた
それはきっと君にしかできないことで
君だからできることなんだよ
君の笑顔
君の泣き顔
君の声
君の空気
その全てが
どれだけたくさんのものを僕に与えてくれたか
僕にとって
どれだけかけがえのないものになっていたか
君はしらないだろうけど
それ以上のものなんてないんだよ
たとえば
君がそこに生きている
そのままの君が
生きている
それは君にしかできないことで
それ以上はないんだ
それだけで十分なんだよ
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あの明るくて淋しい街に
ひとり降り立ち
君は何を想う
ネオンと排気ガスに淀む空
不透明な風をうけて
君はいつから
走れなくなったの
どれだけ地面を蹴ったって
コンクリートに足跡はつかないから
幾度ふりかえっても
昨日頑張った自分には
会えなかったろう
夢追いに疲れて
抱きしめてくれる人もいなくて
電波に頼るしかない自分が
情けなくて
怯えながら乗った満員電車
掴みかけた夢と
募る淋しさを
置き去りにして
ホームに並べば
この街に
溶けて消えられる気がした
あの街が明るいのは
君の夢が彷徨うから
あの街が淋しいのは
君が淋しさを捨てたから
そうやって街は生きる
あの日
満員電車でこっそり泣いていた
君は今
何を想う
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君にしてやれることは何一つないと
何か一つでもしてあげてから言うべきこと
あの時流れた
君の涙を
今なら拭いてあげることができるかもしれない
どうしてだろう
あの日、あの瞬間に
差し伸べられなかった手
難しすぎた君に触れること
今なら何だって出来そうで
君の笑顔を見る方法も
次々と浮かんで
忘れていた涙も
とめどなく溢れて
今もし君が目の前にいて
この涙を拭ってくれたなら
思い切り抱きしめたい
なんて
考えた次の瞬間に
わかったこと
人はそれを
愛と呼ぶのだろう
そして今
僕は
後悔しているのだろう