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凜一の部屋


[115] てのひら
詩人:凜一 [投票][編集]

時間よ止まれ
サヨナラくるな

何度願ったことだろう

近づいてくるオワリの足音に怯えて
君の手をいっぱいいっぱい握り締めて

わざと
ゆっくり歩いたりして


どこでキスしよっか
どんなキスしよっか

そればっかりの愚かな僕に
君の笑顔はただ清らかで
どこまでも透明で

僕はいつも罪を犯した気持ちになるけれど
この手を離したくないよ


君が思っているより僕は
ずっとずっと

君が好きだから


信じきれないところまで
どうにかして信じたいほど

君だけを想うから


つないだ手のひらに込めた

「ずっと一緒にいたい」
「どこにも行かないで」


なんて弱っちい僕の叫びを

ほんのひとかけらでもいい
受け入れて
「いいよ」って笑って

ずっと一緒にいて


ああ

君の家まであと数歩


時間よ止まれ
僕らだけを残して

サヨナラくるな
この手を離さないで

いつまでも
離さないで

2004/10/03 (Sun)

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