詩人:凜一 | [投票][編集] |
指先でなぞるだけの宇宙で歌を歌う
虫の息になってもただ愛だけを欲しがる
サヨナラは忘れたと笑う
だれかに殺してくれと願う
だれかに愛してくれと願う
だれかに幸せにしてくれと願う
だれかに不幸にしてくれと願う
触れてくれと懇願し
触れるなと拒絶する
ひとりにしてくれと叫んでみるけれど
孤独にしてくれと頼んだわけじゃない
だれかに認めてくれと願う
私という人間がただそこにいることを
無難に生きているけれど
この愛にひたすら縋って泣いている孤独な日々を
どうか認めて
ともに泣いて
抱き締めてくれと
それだけを願っている
私はこの愛に無力で
だからこの愛に貪欲で
苦しい夢を蓄えて
生きている
サヨナラは忘れたと笑う
そんな日々にサヨナラを恐れている
虫の息の
死にかけの小さな私を
どうか愛して
目を閉じればそれだけがすべてになるほどに
きつく抱いて
離さないで
受け入れてくれなくていい
壊して
なにもなくていい
奪って
ああ
伝ってしまう涙を
どうか
だれか