ホーム > 詩人の部屋 > ノリの部屋 > 飴くず

ノリの部屋


[102] 飴くず
詩人:ノリ [投票][編集]

星空が飴になった夜
見えない世界に吹いた風
このまま溶けてしまいたい僕も
溶かしきらない生ぬるい季節

あの瞬きすらも嘘かと
さざめく波に聞いた夏は
白い綿あめがシュワっと消えて
ほうき星みたいに通り過ぎた

飴クズの星は甘いまま
懐かしくなる景色のまま
そよぐ風だけが季節の便りで
死にたがりの僕に
しつこく訪れる飽きた明日だけが
たしかな世界はもう消えて欲しくて

閉じ込めた星空だけで
僕の世界は十分だ
このまま溶けてしまいたい僕の
甘い飴玉の夢
また夜空が薄明るくなっていく

2020/09/29 (Tue)

前頁] [ノリの部屋] [次頁]

- 詩人の部屋 -