詩人:老女と口紅。 | [投票][編集] |
教育番組にて
老人ホームを見つめる‥
私が思う介護のひずみ
介護士は言う
今日は
お化粧して
若返りましょうねぇ〜
赤ん坊を
あやす かのように
対応する口調
それを受けとめ
車椅子に座る
白髪の女性‥
歳は 八十の後半位、
ごくごく普通の老女‥
髪を整えられ
そして口紅をぬられる‥
口のききかたは
どうなの?
そんな行為が
本当に必要なの?
彼女は化粧を
望んでいないのでは?
介護する側
される側
思うところは
沢山ある‥
ゆりかご から
墓場まで
人として‥
私が老いた時、
何を望む?
どこへ向かう?
私の言う
老女と口紅。では
決して
明るい光景ではなく
ほほえましい
もの、でもない‥
ここに
介護問題に
興味は
あるけれど
もう一歩先には
踏み出せない男、
老女と口紅。
が いる‥
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あぁ、
こんな話をする時は
やたらと口が渇く…‥
さあ 立ちあがれ
左手には拡声器
右手は固いこぶしで
天を突け
ポンチョには
動物愛護の四文字を、
胸を張って叫ぶんだ
大きく 息を吸え
二酸化炭素を撒き散らし
オゾン層を破壊しろ
同時にとなえろ環境問題
疑問も矛盾もありゃしねぇ
滅びゆかんとする種を見つめ
みんなの力で救うのさ
増えすぎたら
殺してしまえ
命の数を調整するんだ
バランスの問題さ
自分を捨てろ
群衆に飲まれろ
右へ習えの人生さ‥
矛盾と
疑問に
気が付く前に
動物保護を訴えろ
環境問題は
その次にでも‥
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あぁ、
こんな話をする時は
やたらと口が渇く…‥
パンジーの花 安いね
あっちのは高いけど‥
クワガタ虫、いくら?
カブト虫は‥いらないや
お魚 一匹、おいくら?
まとめて買えば安いのかな
この豚肉 いくら
安売りはいつ?
あの 女は いくらなの‥
あそこの
ガラス張りの部屋の中から
国民に手を振ってる人のお値段
やっぱり高いのかな?
これ 全て命‥
‥命を見つめてみる
命は尊く 大事なもの
何物にも代えられない
大切なもの‥
命には値段が付く
命に平等など存在しない
飼育した命
養殖した命
栽培した命‥
食べたい物の
おいしいとこだけ‥
世界中のまな板の上では
永遠と声にならない悲鳴
死にたくないという届かぬ願い
お前らの
おいしい とこ だけ‥
いらない所は
下水に垂れ流せ
人類が生き残る為に
果てしなく永遠と‥
命は尊いもの?
地球よりも重いもの?
だから
感謝しながら食す?
笑わせるな‥
感謝で
むくわれるのか
つぐなえるのか
人類によって失わされた生命の全てに
もの言う口が付いてりゃ人間なんて
即・殺してしまえの大合唱さ
人は
食物連鎖の頂点だから?
おごるなかれ‥人類よ
お前が今
踏んでるアリにも
命はあるのだよ‥
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あぁ、
こんな話をする時は
やたらと口が渇く…‥
人類は不死鳥を求めて
歩き始めた
いつの時代も
人々は永遠の命を願い
鼓動の速さで旅をする
伝染病、精神病、
困難な手術に
生命の生み分け‥
一歩、一歩
確実に前へと進む
無理、難題を
克服しながら
そして
今、クローン人間‥
道徳・倫理、
モラルに 秩序‥
議論や討論で
足踏みなどしている
暇など無いはず‥
今まで
費やした膨大な時と金
実験で失われたであろう
多くの命‥
さあ、突き進め
止まる事なく
迷う事なく‥
人類が
永遠の命を手にした時
それら全てが
むくわれる‥
そこからまた新に
ドラマが始まるのさ
人が神となる日も
そう遠くはないはず‥
立ち止まるな
そして
振り返るな‥
永遠の
テーマに向かって
歩き続けるんだ…‥
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ほら‥
こうして抱き合って
キスをしていると
愛が
かたちに なってゆく‥
彼女の瞳にキス‥
さあ、
目をあけてごらん
僕の愛が
かたちに なってゆくよ
君の
二つの柔らかいとこ
大好きさ
飾らない 笑顔に
気取らない 仕草
大好きさ‥
君だって 好きだろ?
僕の
大きくて 硬いとこ
ほら
よく見て
触ってごらん
そして 感じるんだよ‥
どんどん
大きくなっていくよ
君への想いが‥
ますます
硬くなっていくよ
君を守っていこうとする
その決意が‥
これが僕の
愛の かたちさ
一つになる時 知るんだ
君は
僕の愛の大きさを‥
僕は
君の体の深さを‥
愛の かたちは
変わっていくものさ‥
言葉なんて
足さなくていい‥
ただ こうして
アダムとイヴのように
抱き合っていれば
それだけで‥
それだけで
いいのさ‥
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私がこの先行く道は
右ですか?
それとも左ですか‥
ねえ
教えてください
地蔵さま
私は少し
疲れてしまいました
もうすぐ日が暮れる‥
右へ行けば町のふもとへ
左へ行けば森の奥 深く
町と人は、冷たくて‥
機械的な日常
薄っぺらい友情
腹黒い感情
苦悩の果ての 絶望
すがったものに
見離され
愛したものに
裏切られ
夢は都会で失って‥
ねえ
教えてください
地蔵さま
私が
左の道を選んだなら
その後あなたは
私をずっと
抱いていて
くれますか?
あわれむ事なく
さげすむ事なく
私を
抱いて‥
その
優しいお顔で
私を ずっと…‥
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夜景の綺麗な
バー・カウンター
カクテルに ジャズ
彼女には酒が入り
心にも体にも隙間が‥
男が言う
愛してるよ‥
女の股間がゆるむ
男の 嘘が ニヤリと笑う
したたかな女の尻が
高級バッグをねだる‥
火遊びは
燃えりゃいいさどこまでも
狂った果実は墜ちるまで
同じ立場の不倫ならまだ幸せ
片方がフリーなら
泣きを見るのは惚れたもん負け
駈け落ちしたならお先は真っ暗‥
一度
不倫で手にした幸せは
また
不倫で失うんだよ
ただ 別れて泣いて
悲劇のヒロイン
気取るなら
思い出は
綺麗に取っておきたいね
ズルズルと
連絡を取り合っている間は
まだまだ恋愛ごっこ
お互い
秘密を持ち合う事を
楽しんでるうちはね…
いっ時の快楽で
家族を失うかもよ‥
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しとしと と
雨がふる‥
六月の雨ン中
学校帰り
赤や黒のランドセル
きいろい傘に
きいろい長靴
水溜まりもへっちゃらさ
窓から ながめてる‥
僕にも
あんな頃があったっけ
庭には あじさいの花
こんな日は青紫色がちょっと
センチな気分にしてくれる
そういえば
別れたあの子が
言ってたよ、
ため息つくと
幸せ一つ
逃げちゃうぞ
って‥
君のいない
僕の部屋
頬づえついて
ため息一つ‥
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物が無い時代の女性
幼かったあの頃の私‥
頭の中にはいつも
あまい
あまい
チョコレート
遠い
遠い
昔のよう‥
スペースシャトルに乗って
G.にも負けず今 無重力‥
時の流れは早すぎて‥
十年は、まばたき一つ‥
百年は、ため息一つ…‥
小窓から
母なる地球を見ている
青き星を見ている
そして老女の目には涙‥
喜びではない過去の悲しみの残像‥
目に焼き付いてはがれない映像‥
老女は哀れむ‥
星の上での
人工爆発
環境汚染
民族紛争‥
地球はこんなに
青いのに‥
老女はなげく
人類が
歩みゆく先の
末路を知る
占い師のごとく…‥
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初夏の風かおる川原で
僕一人 水遊び‥
日座しきらめく土手の上から
満面の笑みで僕を見ている
オジサンが一人…
嫌な予感‥
誘拐‥ 保護?
それとも…
母から別れまだ数日
ススキの影で足がすくむ
僕、どこから来たの?
一人なの?
男は必要以上に興奮し
辺りを何度も見回した
お母さん、 声にならない声‥
心で叫ぶ‥
届くはずの無い声で母に祈る…
助けて‥
願い届かず男に手を取られる
そぅ‥
あの日が僕の人生を狂わした
あの出会いさえなければ
私は今頃どこで何をしてたのでしょうね‥
‥今はこの男との生活
自由など、みじんもない
水道の水の音でふと思い出す
遠きに思う故郷の川のせせらぎ…
狭いプラスチックの部屋
あれから三年‥ただ ただ毎日が
たんたんと過ぎてゆくだけ‥
私の明日に夢や希望など持てやしない‥
あの日あの時の満面の笑みと引き替えになった
私の人生‥
いつの日か 故郷に帰れる日を夢見て
今 ここに生きる私
スッポンの一人言…‥