いにしえの 古城にそよぐ春の風湖面に舞散る さくら木の花 波紋に気の付く 鯉もいるとて‥詩姫は唄ふ つらり つらりと 短冊の上走らす筆に 込めいるは 遠き都にいる殿へ はせる想ひはこれ一つ 狂おしく 愛しき人へと つのる想ひを青き空を見つめいて春の風に詩のせいれば千里の先も 万里の果ても 想ひはきっと 越えゆかん‥春なのにぽろり こぼるるなみだ一つあるかな‥
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