詩人:杳子 | [投票][編集] |
欺瞞ついでに言い放った言葉さよなら
一寸先も見えないあなたの眼を人形のようだと褒めてあげた
幸い傘の骨はまだ大丈夫
突然の雨降りも楽しくなるわ
くるくる傘の柄回してみれば弾け飛ぶのは悪口雑言
みんな私の笑顔を怖いと言ったわ
傲慢だって罵るよりもそれは愉快なお笑い草よ
真っ白な外套で隠す真っ赤な恥も今の私にはお笑い草なの
死んで詫びる気なんてさらさらないわ
よく見てごらん
雪に変わって全てを覆い隠すの
おわかりかしら
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こんな朝に 嘆くように
涙滲ませて
そんな風に 明日も来るの
それじゃなんだかな
空に舞う 羽を見上げ
いつか地に落ちると知る
誰のもの? わからないけど
私もいつか いつか……
飛ぶ鳥の羽は 整然と並び
下界を見下ろし嘲笑っているの
行方知れず あてどもなく
鳥は地上に影をのこす
こんな私に 何ができるの?
そんな風に 迷い続けて
散ってしまった 枯れ葉見下ろし
いつか土に還ると知る
憂鬱と不幸が入り乱れてる
鮮やかな思い出など私にはない
私の過去は みんな俯き
私を直視しようとはしない
行方知れず あてどもなく
ひたすら歩いても疲れるだけ
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朝焼けをたどる向こう岸
踏み外しまた明日になる
遠い記憶にうつつを抜かし
聞こえてくる声に日々を無駄にする
今夜の風は冷たく頬を掠めて
大地が氷りつくような満天の星空
最後の星が暁の色に薄れゆくとしても
決して薄れることのない惨めな過去
朝焼けをたどる向こう岸
踏み外しまた明日になる
温かい暖炉でうつつを抜かし
聞こえてくる声に今日も苛立つ
あなたはいつも平凡を嫌って
大地が燃え盛るように走り回る
最後の言葉が彩度を失ってゆくとしても
決して憧れを忘れることのない私がいる
雲はいつものんびりと
ただ空にあって私をなぐさめる
涙をいつも乾かすのは
冷たいこの夜の凍てつく風
朝焼けをたどる向こう岸
踏み外しまた明日になる
たといそうだとしても
まだ立ち上がれるのは
あなたが笑うことを止めないから
あなたが生き抜くことを止めないから
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指に掠めるキリキリ空気
満天の星とは裏腹に
鎮まりかえった道路の喧騒
道の真ん中歩いても
誰も咎めることなどなくて
けれど誰も見てやしない
お腹が減っても食べない理由は
切なくなるのが好きだから
だから手袋嵌めずに散歩
枯れ木並木に初雪舞うかな
白む空が鬱陶しい
夜のままならきっと叶うのに
目覚める世界が見せる現実
少し切ない
やっぱり嫌い
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凍てついた耳を塞ぐヘッドホン
小さく漏れる旋律は外界への抵抗
午前三時に目覚める朝は
白い吐息が教えてくれる
呼吸の法則
とめてしまえば安らかなりと
目を醒ますこともなかっただろう
午後三時に出かける昼は
たどる足音すすむ進む
展開の法則
手袋忘れて
ポッケのマッチの空箱をぐしゃり
午前零時に飛び立つ夜は
掻き消す月光静かに語る
此岸の法則
無駄だと知れば
がんばることもしなかっただろう
いらないと投げ捨てたヘッドホン
小さく漏れる旋律は街の喧騒
いらないと投げ出したMP3
名もなく奏でる旋律は私
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何のための鶴嘴なの
壊れそうもない壁を狙って
私に日を見させるなんて
自惚れてるのは夜の方
崩れ崩れて崩れては
どうか屑れてくれますか
薄い雲の向こうが見たいの
何のための努力なの
届きそうもない私はもがいて
明日天気になれなんて
思えないのはカーテンのせい
醒まし醒まして醒ましては
どうか冷ましてくれますか
雲一つない夜空がいいの
冬の夜空がとてもいいの
明日が仮にこないならば
私は今日もがんばりますか
何のための我慢なの!
傷ついたって生きていたいの
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誰かにつけられた値段が
私の価値だって思ってた
ただ過ぎてゆく時間に
あなたを濡らしながら思ってた
いつかあなたが買ってくれたコート
もうボロボロで着れやしないわ
いつかあなたが言ってくれたような
私は今はどこにもいないの
私はコラージュ?
あふれ返りそうなその他を切って
いいえ 私が知ってる私はあなたじゃ計れないの!
あなたがつけた値段が
私の価値だって思ってた
いつかあなたが吐き捨てたセリフ
もう思い出したくもないわ
いつかあなたも分かるでしょう
私を決めない私が価値って
私はコラージュ?
あふれ返りそうなその他を切って
いいえ、私が知ってる私はいつもここにあるの!
感じてよ とても慎重に
私を切り貼りなんてしないで!
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前途広しってなんのことだ
前途多難がいつものことだ
目を逸らすのもいつものことさ
なにかしたいけど なにをしよう
こうしたいって言えば日が暮れた
何に本気で どうしたいのか
それも無駄になって 詩になった
なぜか夢中で いつも霧中
(方向音痴は昔からだよ)
夢があるって言っても 軽くなるんだ
(本気だっていうのが恐かったんだ)
何が掴みたくて 走ってたのか
(光がこの手に欲しかった)
それも歌になって 無駄になった だけだよ
(もう遅いって諦めかけている)
嗚呼
(でもまだやれる気がするんだ)
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あの雲が消えるころ
私はもういない
芥箱から出ると一条の光
夢から差し込んだ
鬱屈した色で唯一の光
嬉しくて泣いた
そこは豊かな灰色だった!
そこは正しい楽園だった!
それは確かな喜びだった!
そして私は思うだろう
あの雲が晴れるころ
私は羽ばたける
引力の中に彼方は佇んでいた
私は差し伸べた
色のない視界で唯一の喜び
嬉しくて泣いた
彼方がくれた愛の言葉に
二律背反、涙を呑んだ
それは確かな諦めだった!
そして私は思うだろう
引きずってきた忌むべき生芥が
私に抱きしめることを躊躇させた
私の背負う十字架はあまりに醜いから
どうか彼方は太陽の下で笑って……
あの夢が消えるころ
私はもういない
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何も分からない 右も左も
何をしても上手くいかない
そんな時は分からなくなるよ
それはまだ選択肢があるから
歩いて 歩いて ただひたすら歩いて
辿りつく先が 崖っぷちでもいい
私の歩いた先にあるゴールが
明日の見えない 断崖でもいい
何も変わらない みんな誰でも
頭でっかちな人ばかり
そんな事でも今は分かるよ
それは誰かを守りたいから
嘆いて 嘆いて ひたすら嘆いて
後悔したこと 背負い続けたい
私の辿った道にある後悔は
明日の見えない あなたのために
正しい方なんて分からない
待ってたって朽ちてゆくだけ
私は自分の手で見つけたい
歩いた道のりが答えになるから
歩いて 歩いて ただひたすら歩いて
辿りつく先が 崖っぷちでもいい
私の歩いた先にあるゴールは
明日の見えない 断崖でもいい