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謳器の部屋


[12] 失くした物と見つけた物
詩人:謳器 [投票][得票][編集]

夜明け前に部屋を飛び出し
狂ったように彷徨い歩いた

大声で叫びたいのに
声はかすれて 言葉にならない

走り出したいのに
足がもつれて しゃがみこんだ

滑稽なのは
かすれた声でも もつれた足でもなく

今この瞬間の私の顔

何の表情もない
今この瞬間の空虚な私の表情

何を叫びたかったんだろう
何処に行きたかったんだろう

どうして失くしてしまったんだろう


呆然と立ちすくんで
見上げた空には
取り残された 最後の星

弱々しい光を瞬かせ
燃え尽きそうな 最後の星

そして
そのとき溢れ出した涙が 
私の最後の星

2006/06/05 (Mon)

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