詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
はじめまして
まっ白な日々に意図をもとめて
細さを無視して、出来るだけく黒く書き尽くす
なんなら嘘でも比喩でも
雪原を暴れる
@
会社からの帰宅途中
スーパーで買い物をして
ふと、駐車場の花壇に植えらた木にぶら下がる
コウモリをみかける
立体遊泳が始まる
いや嘘さ
そんな言葉ないよ
あればいいのに
いやただ、ただ俺は読み手に嫌気をさされ
お互いに始まればいい
コウモリの目はあまり良くない
なにもかもあまりよくわかならいのに
なにもかもよくわからない
もう、夕焼け
いらないのに
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誰か
しわくちゃをもっともっと
しわくちゃに押し包み
結論をまとめたなら
母ちゃんみたいに
あたりまえに
皆にしてくれ
俺は息子達が
俺ももういないあと
どうにもならない
何かのいいなりなる
そんな世代を見送ろうとしている
俺はつまらない
ひとりよがりの詩ばかり書いている
俺は尋ねたい
愛と書いて愛が伝わるか
死という文字で死の持つ影が見えるのか
翼があれば本当に飛べるのか
そのなごりで良ければ飛べなくても鳥として満足してられるか
連休明けの月曜日は死にたい気分の二日酔いの同僚を同じ気分でバックドロップしたくなる
水垂がどこまでも続く砂利道を
カンボジアの10歳の少女と性病でボロボロの母親が重い荷車を押して行く
死にたい気分なら
腐っても花か
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ありがとうございます
ありがとうございます
どうもありがとうございます
すみません
すみませんでした
どうもすみません
庭にニラを植えていて
嫁は私の弁当の野菜炒めに
そのニラを使う
なのにカタツムリだ
会社から帰宅すると
玄関前の庭にある
花壇のニラに目をやると
カタツムリを毟り取り
殺すつもりで足元に叩きふせる
すみません
ありがとうございます
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俺は瞬きたい
ごめんなさい
何つかぬはじめから
ないがしろをうらやみ
何かととどこおってきたころから
もうずいぶんたつ
水を飲みたい
きれいな水をかみしめながら
あたらしい
こうかい
しょっぱいうみ
のどがかわく
傷の痕がズキズキする
気がつかなかった
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いつか
暖炉のような詩を詠んでみたい
ログハウス
そこには皆があつまる
しっかりと蓄えられた薪
そのかたわらたには
乳を貪るように吸う何匹もの子犬達を暖かく抱く母犬が横たわっていて
パチパチとたまに薪の焼ける音がする
コーヒーでも紅茶でも、ココアでも好きな飲み物をマグカップに入れて
誰かはテーブルの前の椅子に腰掛けながら、誰かは床で毛布にくるまりながら、あるいは立ったまま
皆、誰かの話しを
時を惜しまず、ただ静かに噛み締めるように聞き入っていて
なにげに、窓の外へと目をやると
白熱電球の灯りが冷たいガラスの向こう側の景色に降る雪を一瞬だけ、幾度となく照らす
耳を澄ますと
語り手の話す言葉の隙間を縫うように
外のもみの木の葉が
風に抗う音も聴こえてくる
気がつけばもう
子犬達のお腹はパンパンだ
すやすやと寝息を立てはじめていた
柱時計の鐘の音が12度
ボーン、ボーン…と
夜のしじまに皆をたしなめるように
鳴り響く
それまで気にもとめていなかった振り子の音が妙に耳についた
暖炉に新しい薪をくべ直す
もう少し皆、暖かくしていってくれ
明日もまた早いけれど
夜はまだ長いのだから
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
団地が近くにある
仕事からの帰宅途中
たぶん
団地の住人らしい
初老に近い婦人が
重そうな買い物袋を手に下げ
家路を歩む様子を
運転席の車窓から見かけると
他界した母の事が思い出されて
どうにも
車に乗せたくなる
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きらいで
いきてきては
いないから
ちいさなまどのなかには
わかりやすい
いいわけにかられ
いためつけあいたい
ひとびとのかげり
まわりくどい
もじのられつより
いいわけもいらないけつにくに
ぜんしんがたかなっていたい
ちいさなまどをひらいて
とびおりちゃいけない
なにもいらないふりして
だれかをうらみながら
ほんの
すうせんちめんたる
ようやく
まっかなあさやけとゆうやけが
たがいにむかえにむかい
みたされ
わかれ
ひかれあう
ありえないなんて
もう
だれかにまかせてしまえばいい
このんで
しにたい
わけでもないなら
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いつか詩は
AIが
誰の心をもうつ
文章で紡ぐようになるだろう
そう
全てが極限の分析の対象になり
あらゆる文化の人が各々の世紀を経て書きしるしてきた
その文字の一欠片、行間、句点が
どのような言語、意図と才能で推敲され導かれ
辿ったのか
AIは
幾千、幾億、幾京回も解析をおしすすめ
はてしのない人のわがままを
まんぜんとかかえ込み
観察し洞察し結論をまとめ上げ
そのある頃、永遠の傑作を文字にしはじめ
本当に詩は
まるで選りすぐりのサラブレッドの毛並みと、なによりその繊細を海の熱帯魚を
陸のカメレオンが凝視し、最高に擬態し尽くした
何も足すこともひくこともいらない
人の「筆舌に絶する」と言う言葉の本当の意味
を体現し
その極まりない価値すら飛び越え
今更、つまらなく映るしかない人を完全に置いてきぼりにして
究極の結論へと駆け走り登り、炸裂にいたり
さらに研ぎ澄まされていくだろう
私はこの世代の内に
人の書く意味の残骸の薪を拾い
荒涼たる裾のを
独歩してきたそれぞれが
終わりの行列に合流し
寄る辺のない
燃やす価値すらもない薪の苦悩を抱え
残酷な結末に至る刹那を
ついに心から感動する詩に休まるだろう
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
心が無い
自分以外の痛みを
格好以上に
苦しく感じた事が無い
息子は私を嫌いでは無いが好きでも無いと話してくれた
潮が引いていく
時間は限られている
引いていく潮を追うように
潮干狩りが始まる
私は、沢山の獲物を獲たいから
我先に沖へ乗り出して行く
でも
息子達や嫁を置いてきぼりに
できるはずも無い
もう少し早歩きなら
もっと獲れる
詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
オレンジのマウンテンパーカーを好んで着ている
アウトドアの雰囲気もあるし
なにか消防やレスキューみたいなイメージもある
猟銃を構えた
ロバートデニーロが演じた
映画ディアハンターではオレンジのマウンテンパーカーを着込んでいた
釣りの浮きにもオレンジはよく使われる
水面で自然に目立つ色合いなのだろう
会社の社長の娘婿が入社して
自分の部所に配属されてから
何かと折合いがつかない
会社ではだいぶ無口になった
太鼓持ちな連中と反対方角に歩むから
本当の弱さも手伝ってか
随分とみじめになりそうになる
ものごころと呼ばれる何かが始まった頃から
何故自分が人と違う方角を好むのかが
いまだによくわからない
朝の出勤
オレンジのマウンテンパーカーに袖を通す
今どき少し目立つ色合いなのだろうけど
たまらなく好きだ