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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[114] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]


こんな しどけない拙さは

ずぶ濡れのまま
折りたたまれて しまわれた傘のようだから

なにかにつけて
軒先の雨宿りみたいな
そこはかとない歌が恋しいのだろう

遠い雷鳴を憂う
こんな自己憐憫の反芻を踏み蹴散らし
湿った子猫が駆けてゆく

振り払らったはずの
幾つかの情景を映す雫は
時の裾を滴り
淀んだ胸を穿つ

思わず空を見上げれば
眩しいだけの雲のかげりが暗い軒の影をかすめ
蒼白の羽が瞼を撫でた

もう既に
この掴み手の湿った感触が血肉そのものに近づいているのなら
寧ろ しっかりと握りしめ深く噛みしめつつ開き
固く強く踏みゆこう

ずぶ濡れの恥ずかしさのそのままに




2007/12/04 (Tue)

[113] 研磨
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金属を美しく磨ぐには

一定の力で均一に等間隔の滑らかな8の字を描くように揺り動かさねばならない

欲は加減を歪ませ
見合わない背伸びは
その表面に磨き手の顔を
ぐにゃぐにゃに おぞましく映しだす

かと言って無欲では
緊張感がたるみ
ガラス鏡のような
細密にして鋭利な様相を取りこぼしてしまう

と言うよりも
磨き手の目に見えている事など全くあてにはならない

素に指先で触れた感触と
丹精を込めた誠実さが

一漕ぎ 一漕ぎを…

さながら
舟を駆る 揩のリズムのように なだらかに
テンポよく
繋がらねばならない

そう それは
良く晴れた空を映す
湖を行くように

ありのままに

リズミカルに




2007/07/28 (Sat)

[112] ロケット
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僕ら
何かと言えば
取り返しも
とめどもない
勘違いをしていたのかもしれない…

ロケット

あの月に
ズカズカと
人がたどり着いてから
何か
やり場もない
やりきれなさが
星やマンガ雑誌等も巻き込んで
目をつむっていた無垢さと朝の非情で倦怠な目覚めに分からないふりをしてきた

ロケット

イライラしている

ロケット

憧れている

嗚呼…
なんと言えばいいのか
慎ましく限界を試される
荘厳な姿勢
つまりあれは
神なのだから

さて
神だとして
なにをかいわんや
現実の日々の生活である

つまり

つまりなんて言う奴は
ろくでもなく
これは
Ωであり
αなのだ

さよならみんな

さようなら地球






2007/07/14 (Sat)

[111] 忘れ物
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モクマオウの
ごうごうと風に寝そべる
真昼の青空

ひっそりとした
滝のようなすべり台
置いてきぼりの鉄棒兄弟
ジャングルジムのエベレスト

真っ白い
真っ白な雲と帳面の端
透明に
微かに浮かぶ
骨の月

ねえ先生
忘れ物なんかよりも
この校庭のこの景色が僕には必要なんだ
だから先生
僕よりも忘れ物が大事では無いのなら
どうか叱らないでいて欲しい…
ほら先生
セミがまた
鳴きはじめたよ




2007/06/23 (Sat)

[108] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]


道路脇へ車を止めると

夜のフロントガラスの雨は過ぎ去る ヘッドライトやテールランプを溶かし

まばゆいステンドグラスの物語は
渦巻く万華鏡の縁を零れ
さんざめく銀河の賛美歌が響きわたる



「科学でも 光の正体は 未だに解き明かされてはいないのだという…」




ため息に曇る霜をぬぐい
プリズムのスペクトルから覗く完璧な虹の悲運は

どんなにか目を凝らしても感知できぬ視覚




海の潮騒に似た
深呼吸は 繰り返し打ち寄せ

ただ遠くへと 去ってゆく




「光の正体は 宇宙の真理の核心部分なのかもしれない」




けれんみなど知らない
素敵なスピードの水しぶきに覚まされ

ようやくエンジンキーを
ゆっくりと 静かに回す

すべからく

光と

相対しながら

2008/08/14 (Thu)

[107] 線香
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誰しも

待っているものがあって

あてもなく
ただ 近づく予感だけが 静かに燃えていて

その期待は

いつしか 音も無く
炭化する灰のように
ポロポロとこぼれ落ち

何を待っていたのか

忘れてしまいそうな
喪失感を
上の空のふりして
カレンダーに目をやり
週末を楽しみにしながら

早く老いる事を
それとは知らずに願い

温暖化の空を燻す
二酸化炭素を
まき散らしながら

どこへ
たどり着けるわけでも無いくゆる願いは

感触も熱も持たないまま
思い出を置き去りに
立ち上るばかりだ




2007/10/21 (Sun)

[106] エリーゼの…
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老夫婦は
ゴミ収集車に
幼い少女を乗せていた

あのメロディーが

早朝の街角で停車すると
深々と 白い息が
軍手にしっかり
ゴミ袋を掴み上げ
その汗が 誰かの汚した
いらないものを
きれいに
洗い流してゆく

そのあいだ

フロントガラスごしの少女は ガラスケースの大切な人形のようにシートに腰掛け
おとなしく 二人を
眺めていた

「少女の父さんや 母さんは今頃 彼女の為に
何をしているのだろう…」






あのメロディーが流れる

老夫婦は 早朝の街を
清々しくしていく

それは きっと

少女の為なのかもしれない



2007/02/06 (Tue)

[105] 白い三匹の子犬
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廃墟となった工場跡
捨てられた
白い三匹の子犬
寄り添い合い
暖め合っていた

コンクリートの地べたの片隅
クローバーの三つ葉の
無垢な初々しさで つらなり
可愛らしく ペロペロと
凍えた指先を舐めてくれた

「三匹はとても飼えないし離ればなれにするのも
可哀想だ」

風にクローバーが揺れる

上空に連なる白い雲も 
やがては 暮れなずむ
遥かな果てに掻き消え
過ぎ去るほかにない

この工場跡の景色も
もうすぐ 闇につつまれる

夜が待ち受けているなんて夢のよう

命の数だけ

死が待ち受けているなんて

嘘のよう…


2007/04/20 (Fri)

[104] 真剣
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覚悟のこもった眼光というものがある

大切なものを

自己満足でうすら汚さぬように

構えた真剣の切っ先を
這うように見つめる人をいう


2007/01/29 (Mon)

[102] ビック フィッシング
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「フィッシングは断じて
スポーツではない ハンティングなのだ」













つんざき 軋むタックル

「覚悟していた」

未知との接点に渾身の戦略が悲鳴をあげる

「待っていた 待っていたのだ」

両の足の平をこらえ
背筋から冷たく吸い込まれて世界の外へ吐き出されてしまいそうな気配に耐え抜く

螺旋の非常階段を全速力で駆け上がる

仕掛けを伝い
獰猛な衝撃が
尻尾を跳ねただけで猛獣だと教えてくる
けれど 糸を緩める気など微塵もない 
千載一遇のチャンスにめぐり会えたのだ

旋盤機のように頑丈なリールから
嘘のようにラインは弾け出てゆく

逆巻く波の向こう
鋭く弧を描くロッドは
猟犬の眼光のような穂先を海底の獲物へ向け続ける

張り詰めたラインが潮風を掻き裂き
笛のように鳴く

全開の格闘は限界を誘い 弱音が裏口を探して
立ち上がりそうになる
一呼吸をおいたその刹那
迷う瞬間すら投げ捨て
ギアを重くおとし
全身全霊の賭けに打って出る

ひたすらに
後悔の届かない結論を追い求め 腕を振るう














レコードクラスの獲物を足元に
武者震いが膝から込み上げ 現実の歓喜が息切れの向こうから ようやく迎えに来てくれる

今夜は最愛の仲間達と
最高の獲物をさかなに
酒と釣り談義に酔いしれよう

フィッシングは
果てしのない浪漫に満ち溢れている

2010/07/31 (Sat)
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