| 詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
ほら僕はこんなに難しくて難しい
大変で大変で大変な悩みと朝から晩迄、土俵の上で
パタパタ、パタパタ
紙相撲してる
これじゃあまるで
オママゴト
これじゃあまるで
よそ行きの服
お子様ランチのてっぺんに
立派な旗が立っただけさ…
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朝の
純粋にろ過された大気の中
黄金色の雲を背に
風を翼いっぱいに受けながら
漂う
羽毛の毛細と瞬く日の閃光が弾かれながら微笑み合う
光合成し終えたばかりの緑の吐息が全身を洗いしだく
風に乾燥しそうな眼を潤ませながら何となく笑った
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外を眺めている
風のように擦り抜けた日々に
数え切れない光りと闇の
取り留めも無い繰り返しがある
青臭くすねた頃を
良いとも悪いとも思わない
「全ては取り留めも無い」
それが分かった
次は何に気が付くだろう…
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深海にある伝説の貝には
そこへたどり着く者に
一番大切な物を包んで待っていると言う
鮫達があざ笑う中
僕は
岬の崖から飛び込んだ
僕は鯨よりも息が長いのだけれど
理由が無くて
今迄 深くは潜らずにいただけなんだ
難破船をかすめ
珊瑚の産卵を擦り抜け
深く 深く 下りて行く…
今なら帰れる迄 息は続くけれど
お爺が死んでから
僕の帰りを待つ人はいない
もう光りも届かない程 下りて来た
人魚達も泣いている
だけど僕は信じている
お爺が
その貝の話しをしてくれたのだから
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彼女はその夜
何もかも捨ててしまうつもりだったのです。
覚えている事はみんな
みんな
口惜しさの影で
水滴みたいに
しとしとと流れて行き…
ただ
ただ忘れる事だけが
彼女の救いとして
許されたのです。
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繰り返し、繰り返し
君は振り返る
turnする
奏でられた思いでに…
木漏れ日を腕時計に透かした光りのスペクトルが黄金の秒針とすれ違う
君は繰り返し、繰り返し
振り返る
スカートの裾は赤い風車
桜吹雪の中でゆっくりと止まる…
僕は息を呑む
奏でられた思い出の中
君は
繰り返し、繰り返し
振り返る…。
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何も求められていない赤子が笑っている
黄色い ちぃっちゃな花が幾つも 幾つも
ユラユラとする
抱き抱えると
モソモソと柔らかく
一杯の揺らめく水のように
大切に包んだ手の中から
こぼれようとする
煌めく明星の瞳
風にそよぐ綿帽子の手の平
甘く香る水蜜桃の頬
その未来に
過去、全ての死者の生きた理由を
その魂に
命と愛の意味を秘めて…
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思い出すのは
小学校へ入学する朝、母に写真を撮って貰った事
拾った子犬をもといた場所に置いて
泣きながら逃げ帰った事
雨の花壇で紫陽花を
しゃがんでじっと見詰めていた事
海水浴後のおにぎりを甘く感じた事
田舎の夜が深く
恐かった事
校庭で長く伸び始めた陰に立ち尽くした事
兄と二人で花火をした事…
取り留めも無い記憶
愛しい記憶