詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
数百万円はくだらない
その代物が寵愛するに値するか 侮蔑こそふさわしいのかは 既にそれが存在する事 それ自体が物語っている
男が女の形に恋焦がれ
老いる事を知らない
永遠に恍惚とさせる様を凝固させんと欲するのは必然に他ならない
メトロノームがゆっくりと静かにリズムを刻む
揺れる針を止めては離し 離しては揺らす
つきまとう渇きから逃れた向こう側の実体へ妄想し むしゃぶりつき
支配し 支配される
見える訳も無い義眼をねじ込む他に無い性
シリコン製のさらさらとべたつく事の無い乳房が男の価値観を酔わせる
芸術に近い完璧なラインにじっくりと生唾を飲み込み ピアノの鍵盤を撫でるようにレジン製の爪に舌先を這わす
艶やかな快感は白ワインの旋律で滴り落ち 規則的なリズムをずれさせ始める
こんなめぐり逢いは
孤独を癒せないまま
妬みを玩味させ続け
幸せの意味を疑われたまま狂喜させられ 狂喜させた
グランドピアノの上に横たわった
漆黒の水面に映る双子の星座の美しさのほとり
メトロノームは今
止まっている
、