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遥 カズナの部屋


[144] 今も、ここにある
詩人:遥 カズナ [投票][得票][編集]

















吹奏楽部で使っていたホルンを
押し入れの奥から
引きずり出した

ケースの留め金に触れ
じんわりと呼び覚まされたカビ臭い
真鍮に金色のメッキを施された
記憶と感触

取り出した
あいも変わない無骨な異性とキスをかわすように
マウスピースだけ口先にあてがい
「プー、プー」とさせて
もう片手に掴んでいた
缶ビールから水滴が
足の甲へしたたり落ち
冷たく感じた

単純で無駄のないメロディーを想う

もう、何も考える必要すらいらないまま















2012/08/15 (Wed)

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