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遥 カズナの部屋


[163] 小指の先
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

















一番、気持ちの良い
朝の散歩を
洗いたての髪で
濡れたサンダルを履き
足跡のまだない
砂浜を踏む

蟹達が横目で行き交う
心のこりを
昨日へおいてきぼりに
モクマオウが風に走るような音をたてる

互いに
忘れようとしあいながら
知らずに結んでしまった
約束のような
遠い小指の感触が
跳ね返ってくる

いつもより、いつもどうりに
耳の中に小指の先を強く突っ込み、痒みがとれるまで
深く掻きまわす

しかたのない事ばかりが
ゴシゴシと思いあたる

その手で
目もともゴシゴシとやると
小指の先が臭くて
笑ってしまう














2013/01/23 (Wed)

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