詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
いつか
暖炉のような詩を詠んでみたい
ログハウス
そこには皆があつまる
しっかりと蓄えられた薪
そのかたわらたには
乳を貪るように吸う何匹もの子犬達を暖かく抱く母犬が横たわっていて
パチパチとたまに薪の焼ける音がする
コーヒーでも紅茶でも、ココアでも好きな飲み物をマグカップに入れて
誰かはテーブルの前の椅子に腰掛けながら、誰かは床で毛布にくるまりながら、あるいは立ったまま
皆、誰かの話しを
時を惜しまず、ただ静かに噛み締めるように聞き入っていて
なにげに、窓の外へと目をやると
白熱電球の灯りが冷たいガラスの向こう側の景色に降る雪を一瞬だけ、幾度となく照らす
耳を澄ますと
語り手の話す言葉の隙間を縫うように
外のもみの木の葉が
風に抗う音も聴こえてくる
気がつけばもう
子犬達のお腹はパンパンだ
すやすやと寝息を立てはじめていた
柱時計の鐘の音が12度
ボーン、ボーン…と
夜のしじまに皆をたしなめるように
鳴り響く
それまで気にもとめていなかった振り子の音が妙に耳についた
暖炉に新しい薪をくべ直す
もう少し皆、暖かくしていってくれ
明日もまた早いけれど
夜はまだ長いのだから