詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
蒼いイルカの背びれが
月に淡く照らされた
風の無い凪の海原を裂くように
ゆうゆうとゆっくり
姿をあらわす
朦朧体の完璧な陶磁器
柔らかいようで消え入りそうな
括弧としたなりゆき
紫陽花色の艶めかしさを
つやつやと照らし
輪郭を目で探そうとすると
水面を堺に滑り消え
ペン先さえ表現的に追いすがれない
枯葉色したカタツムリが殻を傾け
大木の切り株の縁を
無駄でない事の裏と表側を探し
渦巻く時計の自動巻きで
めくるめく今を這う
鍾乳石の出来上がる
幾万年幾億年のしずけしさ
誰の愛おしさにも繋がれず
ノートに鼻を押し押し当てた
その匂いだけでは
真っ白い紙面を凝視するしかない
私には
これは死なのか生なのか
全く違う革新なのか
潮の香り、土の匂い
相反する互いが読み手と私すら困惑させながら
私はどうでもよくない
大切な存在としか分からない
どうしてこんな私が