詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
炎のように燃える色した気球が
水平線に舞い降りる
さっきまで
眩しすぎて
やっと、まるいことしか
わからなかった太陽が
もう容赦するかのように
水平線に遮る雲もないまま
だんだんとおとなしく
吸い込まれていく
岬には
夕日を見に向かったのだけど
見上げた白い灯台を囲うような
手摺りの間仕切りの向こう側へ乗り越えていくと
釣り場がある
荒磯の先端にたたずむ一人の釣り人が見えたが
途中足場の悪い岩肌から断崖の下を激しく打つ白波に
足がすくんでしまっていた
十数年程前なら
勇んで車へ竿を取りに帰り向かったであろう、この足が
太陽は沈み
皆帰って行く
夜釣りに備えた竿先のケミホタル※が
灯台を囲う手摺りの内側から
磯の先の空に灯って見えた
※(ケミホタル
魚のアタリを見極めるため、竿の先端部に取り付けたりする小さな化学発光体)