詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
母の泣く声に
ふと目を覚ます
俺がかわってしまったから
なのか
父さん
俺が貴方なら
もっと労ってやれた
酒も博打も女もやらない
家に帰ると庭いじりと横になるだけの
真面目一徹の父親だった
人生が二度あっても
二人は互いをまた
選ぶのだろうか
母は奔放な子供らに苛つく毎日で
いつも不機嫌で
僕は優しくされたくても
自分が馬鹿なのがわからなくて
寡黙で動物好きな父親に惹かれた
親父が夜、隣にいないと
怖い夢ばかり見たから
親父が残業になったら
親父の枕を抱きかかえて眠るような
そんな子供だった
昨年親父は亡くなった
病院から実家に持ち帰った親父の亡骸は
ドライアイスで冷やされ
翌日にはカチンコチンになっていて
着替えさせるのに一苦労した
それは母さん
母さんが亡くなってから
15年後の冬にだよ
実家のタンスの母さんの引き出しから
誕生石の指輪がたくさん
山ほど出てきた
俺はやっぱり
今も馬鹿のままだた