詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
十年程前に
会社を退社して
起業した二人の元同僚がいる
帰宅途中に
久しぶりに会いに立ち寄ると
あの頃に
タイムスリップしたみたいで
自宅兼作業場
狭く小さな会社だが
壁には二人で何処かの写真館で撮った
凛々しい写真が飾られている
顔にも言葉にも出しているつもりはなかったのに
二人の優しい気遣いが
ひび割れた心に染みわたり
本当に有り難いと思った
「俺もここで一緒に働きたい」
そう言いたい
ドブ川の傍らであろうと花は咲くし
晴れてさえいれば
水面に爽快な空も映る
でもそれは
俺から見た景色で
彼らにとっては向こう岸の人間の絵空事なのだ
帰宅して
ビール呑んで泣いて
眠る