蝉の真っ黒な眼に蘇る空鍵を掛け忘れた気がして賃貸アパートの三階へと階段を駆け戻る汗だくでじっとりと手首に巻いた腕時計の時刻があんまりで朝の分針の速さと蝉達の鳴き声にもうこんな時期微かに線香の香りがする
[前頁] [遥 カズナの部屋] [次頁]