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遥 カズナの部屋


[343] 盲目の人に
詩人:遥 カズナ [投票][得票][編集]

夕焼けは

例えるなら
水蜜桃の甘さのよう
母の背中の匂いのよう
失われた
大切な手紙のよう

それらが
すべすべとした
一枚一枚の
いきいきとした花びらとなって
くっきりとした
両の手いっぱいの
掬い上げた感触を
力いっぱい
頭上へと放り上げると
全身に香りいっぱいで
はらはらと
ふりそそいでくれるのに
再び
掴もうとしても
すりぬけていくような
そんな
しかたのない
気持ちになる

2024/03/02 (Sat)

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