詩人:遥 カズナ | [投票][得票][編集] |
切手に薬きょう、蝉の羽
朝顔の種にハーモニカ
入れすぎて
ぱんぱんの
ファスナーのついた
筆袋を開いて
中のものを
じゃらじゃらっと
机にふり落とす
思い出してみれば
こんなもんじゃない
もっと、もっと
たくさん、詰め込んできた
サンゴと虹
おが屑やら豆電球
探検をした下水道を写したフィルム
ピアノの鍵盤
春や秋の余韻やら
月とか
ぐるぐると星座表を回す
真っ赤な現像室
ハンドルを無くした水道の蛇口
原付きとスタジャン
色とりどりの
バースデーケーキのロウソク
ダイヤル式電話の117の時報
菜の花の栞を差し込んだ
今しがたに
夏にも冬にでも
させられ
海へ飛び込んだ
星にも、ゴキブリにだって
なれる
すべからくは
一本のペンを
拾う為に