詩人:遥 カズナ | [投票][編集] |
いつの頃からか
仕事柄
普通の絆創膏では
直ぐに剥がれ落ちてしまうから
指先に痛みを感じたなら
テーピングをしている
作業の只中
絆創膏よりタフでも
薄汚れて
ヨレヨレのテーピングをした
指先を
よくよく眺めてみると
ゴツゴツとした
もう石鹸で洗おうが
どうしようが
爪から指紋の隅々にまでに
黒い煤の汚れが染み込んだ
右掌くんと、左掌くんは
断崖みたいに荒れすさみ
擦り切れそうな痛みを
和らげるためだけに
テーピングをしてやっているが
ついでに右掌の親指先生様は
ばね指で
もう手術するしかない
そう言えばと言えば
そうなのだが
「痛み」を
ただの「痛み」と
まだ感じとれるのは
不幸ではきっとない