深海にある伝説の貝には
そこへたどり着く者に
一番大切な物を包んで待っていると言う
鮫達があざ笑う中
僕は
岬の崖から飛び込んだ
僕は鯨よりも息が長いのだけれど
理由が無くて
今迄 深くは潜らずにいただけなんだ
難破船をかすめ
珊瑚の産卵を擦り抜け
深く 深く 下りて行く…
今なら帰れる迄 息は続くけれど
お爺が死んでから
僕の帰りを待つ人はいない
もう光りも届かない程 下りて来た
人魚達も泣いている
だけど僕は信じている
お爺が
その貝の話しをしてくれたのだから
2006/12/07 (Thu)