詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
その文句でさえも
唄になる
何もないと書けば
唄になる
自由なものかと
歌えばいい
不自由なものかと
歌えばいい
一片でもいい
僕が在るなら
唄になる
僕が在るなら
歌えばいい
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そこまでいけば
関係ない
ここがどこであれ
相手が誰であれ
頭を揺さ振って
頭を揺さ振って
崩壊する悦びを味わって
再生する苦しみを遠ざけろ
絶望に酔い痴れ
震える脳に多幸感
関係ない
スポットライトを
浴びない僕には
関係ない
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破れた殻を
被って僕は
会社に向かった
「お早ようございます」
いつも通りの挨拶
いつも通りの笑顔
ちゃんと出来てるかな
少しの恐怖
少しの優越
「お早ようございます」
良かった
まだ大丈夫
誰にもバレてない
細かい部分の
ほとんどは
自分しか知らない
人目に映る大半は
同じようで少し違う
大雑把な表情と感情
少数でも多数でも
変わらない
ありふれた人間の
ちょっとした狂気じゃ
視聴率も取れやしない
僕も並に
変な人の一人
だから罪を犯しても
おとなしくて
いい子だった
あんな事をする人じゃ
で終わる
気にしすぎかな
醜さを露呈するのに
特別である必要ないか
膨らむ欲に耐えられず
破けた殻を捨てられず
素直になれず
自らを慰めて
夜を眠れずに過ごした
ありがちになりがちな
僕の半生
お前とは違う
何がだ
人より優位に立って
自らを誇示したがった
見下していた
脳内だけの話だが
破った殻を
被ってたって
自慢にゃならない
変わっていたとしても
さほど変わらないよ
誰の物差しであれ
君はやはり
何者にもなれない
他の誰を騙せても
自分自身に
バレバレだとね
苦しいだけだろ
小さいな
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切っても
切っても
切っても
消せなくて
消しても
消しても
消しても
まだ側に居るような
減らない一輪に
恐ろしく魅入る僕の
後に出来た影は
とても黒くて
血走り
見開いた目で
僕は睨んだ
焼き付いて離れない
君の存在を
絶対に近い場所で
増殖し続ける
一輪の君が
キラキラと
僕の肺腑を
えぐるように
照らす
今も
これからも
ずっと
君は
君は
君は
消えない
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赤い赤い
真っ赤な赤い人間
すごく赤い
とても赤い
頭も赤い
体も赤い
どこもかしこも
全てが赤い
赤い人間は
血も涙もない人間の
血から生まれた
だから涙を知らない
赤い人間の
赤い血は
冷たくて赤い
死んだような
赤い目をしてる
赤い人間にも
感情はあって
笑ったり
怒ったり
悲しんだりもする
だけど涙が出ない
赤い血しか出ない
赤い人間は
あなたの流したものが
何か知りたくて
そっと手をのばした
赤い人間は
涙と涙に濡れた
人間の温もりを知った
赤い赤い
真っ赤な赤い人間
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光の色を知ってるか
と聞かれ
光の音を知ってるか
と聞かれ
分からないと首を振る
僕には
見えないし
聞こえない
説明を受けても
理解らずに
どうにもならずに
拳を強く握るしか
出来なかった
他の誰かになら
いとも簡単に
いや生まれた時から
手にしているものは
どれだけ望んでも
この手では
掴めないものと知り
目の前の扉は
パタリと閉まり
部屋の明かりは
フッ と消えた
望みが途絶え
立っている場所が
闇に包まれ
寒気がして
震えが止まらなくなって
今
初めて気付いた事がある
マンホールのフタ
開いた先
広がる深海
異なる相手からすれば
暗くて中が
よく分からない
ものでしかない
けれども僕には
手に取るように分かる
生まれた時から
手にしていたから
その色も
その音も
僕は知っていたのに
周囲の輝きにばかり
気を取られ
己の拳の中の光
見ようとしなかった
あなたがどうしようと
どうにもならない
力を秘めている
未知分の一の確率で
発症した一個の生命体
他の誰とも違う
光を放っている
僕だけに見える光
僕だけに聞こえる光
真理では計れないもの
僕だけの光を
この手に宿し突き進む