詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
目的も無い戦場に
わざわざ自ら赴いて
なりふり構わず
闘っている
何の為にか考えても
何となくとしか
答えられないが
膝が嘲笑っても
倒れられない
二度と
起き上がれなくなって
終わりを夢見るなんて
嫌だから
意志は無意味でも
曲げられない
絶対に
挑み続ける毎日は
単調に過ぎる
生み出しては
壊されて
消化していくだけの一日
それでも虚しいと
口にせずに
明日を生きる為に
悪夢だって
乗り越えてやる
若い若い血が熱く
昂ぶりながら
語りかける
恐れを知らず勇ましく
弱さを知るから強いんだ
万物に宿る
正義や悪を
認めて笑える
心が芽生えたなら
いつか守るものも
現れるハズさ
闘っても
見つからない
だから闘う
問題の無い戦場で
牙を剥いて闘う姿が
答になるまで
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何気なく
他のページを
めくると
手を繋いでいる所を
目撃してしまった
気付かないのは
本人と歌声だけで
その瞬間
走る衝撃は
その耳に
プラスと囁くか
マイナスと塞ぐか
繋がりを
切り離せたら
それ以上
気にならないのに
分かっていても
阻めないなら
双方を見るか
聴かないかしか
手立てはないし
ハナから両方
好きやと思えたら
ええんやけどな
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夜
溺れて沈むのが
怖いからと
気付くのも
嫌だからと
泳ぐのを
楽しもうとする魚
感覚外の刺激から
逃れに逃れ
水槽の中
見渡す景色も
慣れに慣れ
ふと過る無に
消されまいと
忙しなく巡る
行き先も後先も
考えずに
バタついて
零れる笑みの下
広がる隈は
悩みのタネが
刻んだシルシ
廃墟のような闇に
星は煌々と踊る
魚は睨む
一寸先の憧れを
どうしようか
まず泳ごうか
楽しめないし
苦しいし
早く
終わらせてくれないか
少し遠目で観ると
映える失意が
泳げ泳げと
急き立てる
魚は夜を泳ぐ
刀は人を斬る前に
空を切り裂く
分割された一コマに
幸せをどれだけ
詰め込めるかな
さぁどうだろな
とりあえず泳ごうか
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黒い棺の中から
動機だけを取り出して
不可解な方法で
あの世にでも
流せたら、なぁ
アレを親とも
呼べたかもしれない
いつから底に居たんだ
どこかから
迷い込んだのか
小さくて牙のある獣
飼いたくもないのに
確かに産み落とされて
其処で息をしている
お前は
俺に似ている気がして
嫌いだった
そして怖かった
底にフタをして
押し込めていた
此処ハ何処ダ
僕ハ誰ナンダ
トテモ窮屈ナ場所
理由モ意味モ
分カラナイ
分カラナイガ
暴レタイ位
寂シイヤ
誰カ居ルナラ
僕ヲ上手ク
コントロールシテ
柱が一つ欠けている
気付かないし
築けないから
傷付けない
愛し方を知らない
未完成なのは
アレが手助けを
してくれなかったからと
我儘を流す器が
未熟なまま
固まってしまったから
蓄積された欝憤が
底に棲む獣の
成長を促す
構築される原因に
結果の爪痕を
残したくて
フタを
押し退けようとする獣
逆側から
押さえるのに必死で
身動きが取れない
他に何も出来ないだろ
入れ替わったように
立場が逆転した
閉じ込められた
記憶も無いのに
呆気ないほど
簡単にフタは開いた
外に顔を出すと
アレが居た
本当にもう
アレとしか呼べない物が
転がっていた
俺の目の前に
其処には獣の姿は無く
底にはまだ
獣は在るのか
終わってしまった後にも
引き続き
寂しさは残る
きっとずっと
いつまでも
空は晴れないんだ
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夜を奪われ
君に会えない
手紙を出しても
奴等に
食べられてしまうなら
空を覆う
雲になろう
足りない
足りない
奴等だって
必死なんだ
分かっていたのに
抑えられない思い
体がすごく重い
君に影を
落とせない
僕の眼から
冷えた雨は
降るけれど
夜に君に届かない
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君は忘れろと言った
僕の知らない世界は
光に当たるものがない
何もないに等しくて
愛しいものを
ひたすら探す
無闇やたらと
探してみるけど
見失ってしまったのは
何だっけ
見たいものもない
見えるものもない
知りたいものもない
何も知らない
まるで一人のよう
光があっても
照らされるものがない
僕が見たいものは
何だっけ
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繋がれた鎖の先
ただただ
ただっ広いだけの
漠然とした未来しか
それなら
ヘッドフォンが欲しい
貴方の世界に閉じ込めて
赤い鎖の先
ぼけ〜っと
つっ立ってる
漠然とした失望が
それなら
せめて
今だけ
責めて
私を貴方に閉じ込めて
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見えないものに
目を向けられない
だって見えない
興味があるのは
君だけだ
他には何も見えないし
見ようとも思わない
偏っているからこそ
君や僕に
僕や君が成り立つ
だから
君だけを見ている