詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
TVの明かりだけの
薄暗い部屋で
何やらもそもそ
蠢いていた
嫌がる子宮のない母を
寡黙な父が
自分を満たす為だけに
没頭していた
非生産的な行為
その傍らには
学校帰りの
少年が立っていた
左手に持っていた
灯油を二人にかけて
即座に
マッチに火をつけて
ぽい、と放った
少年も含めて
燃える四畳半の部屋
けれども
二人には何故か
火は移らなかった
父の汚い尻が振られ
それに伴い
母の乳が上下に揺れた
行為は終わらなかった
夢も終わらなかった
いつもなら
怒りが破裂して
涙が飛び散れば
枕を濡らして
ふと目を覚ます筈なのに
熱い体
全身が燃えていた
とにかく
ここから離れよう
横幅の狭い
急な階段を駆け上がり
襖を開けて
自分の部屋に入った
部屋には
両親の代わりに
ファミコンがあった
漫画があった
小さいけれど
TVもあった
敷きっ放しの布団に
黒焦げになった
体のまま入った
どうなろうが
どうしようが
もう関係ない
仰向けになって
天井の枡目を数えたり
木目の模様に
様々な顔を浮かべていた
しばらくして
こちらを見ている
一つの目に気付いた
一体、何時からだ
天井に穴が開いていて
その暗がりから
するりと
手が伸びてきた
白い手
白い腕から
透き通って見える
紫色の血管
凄く綺麗だと思った
穴から覗く
一つ目は
背筋がゾクリとする程に
怖かったけれど
その手は誘っていた
明らかに
引き込もうとしていた
掴んではいけない
頭の中で僕は叫んだ
何度も何度も
掴んではいけないと
掴んだら
戻れなくなると
叫んでいたのに
一つも耳に入らなかった
何も考えられなかった
目先の誘惑に
耐えられず
その手を掴んだ
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暗がりだった先には
ほのかな明かりに
照らされた
暖かな部屋があった
真ん中には
エメラルド色の
ダブルベッドがあって
その上に
ちょこんと座るのは
高校生になったばかりの
女の子だ
場所を移り
感染された記憶が
知らない情報を
覚えていた
あの目をしていないが
間違いなく
あの綺麗な
細くて白い腕だった
白い手に
おいでおいでと
招かれて
ベッドへと
無表情に直進する
触りたい
早く触らせろ
何か喋ろうとしたのか
開いた口を
左手で塞ぎ
離してキスをする
強引に唇をどかして
舌を入れようとしたら
顔を掴まれ離された
潤いを帯びた
大きな瞳を
こちらに向けながら
嫌々と首を横に振る
何を今更
誘ったのは
お前の方だろ
逆に顔を掴み返し
動かないよう
固定して
強引にキスをした
抑制が利かず
後は欲に任せた
拒む手を撥ね除けて
無理矢理
服を脱がし
下着を剥がし
裸にした
発展途上の
未熟な体を貪って
挿入するまで
5分とかけなかった
早く
早く
お前の中に
なんでそんなに
嫌な顔をする
笑えよ
喜べよ
感じてるんだろ
涙ぐみ
悲痛な表情を浮かべた
殊更に興奮し
勢いよく中へ
飛び出した
行為が終わり
背中を向ける男
触れたら
触るなの一言
どうして貴方は
いつもそうなの
自分勝手で
好き勝手やって
束縛したり
突き放したり
貴方の自由
私は不自由
いい加減にして
泣いても叫んでも
隔離された四畳半を
行き交うだけで
他には漏れない
溜めて吐く息さえ
無駄な気がした
午後四時半過ぎ
高校生の妹は
ちらりと
こちらを見下して
通り過ぎ
階段を上がり二階へ
父はまだ会社に居た
あの時
母を犯したのは
今も
背後に存在するのは
誰だ
身を置く場所に
常に本物の
自分が在るが
本当は
何処に居るのか
見当もつかない
僕はボロボロ
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正常だから
言えるんだ
喪失ったら
戻れないから
今一歩
踏み出す気になれないと
お前をどうにかすれば
俺だって
一文字残らず
君を消したら
僕すら書かなくなるか
主なる言葉を
切り裂けば
逃げられやしないだろ
甘い性癖に
夢を馳せる
お前の頭
壊してやりたいよ
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父不人気
乳大人気
母強
父安
ヨーグルト
父は
子の為
母の為
母は子の為
子は母の為
父の為
誰が赴く
父不在の
母の体内で
我が子等は
先を求める
忘れたものを
目指さずに
気付けるものか
その存在に
頑固親父に
援交親父
ちょいと悪かったり
祭りが好きだったり
正義感が強かったり
平気で人を殺したり
男の中の男だったり
善くも悪くも
いつかは触れていた
その父の手に
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捨ててしまいました
両手が塞がっていては
掴めないものがあるので
舞い散る悲しみ
見て見ぬふりをしました
大切なものがあると
歩めなくなってしまうので
幸せをもいでまで
欲しいものがありました
ひと一人落として
進もうとした道に
幸せなどないのでしょう
でもそれでも
どうしても
手に入れたいものが
僕にはあったのです
だから
彼女を捨ててしまいました
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完璧だから
神なんだって君
また
騙されてるな
見せないだけだから
底をさ
姿すら
見せやしないし
予想だにしない結末は
あの時
円から
はみ出して
見上げてみれば
周知の未来に
変わっていたのに
例外達は皆
皆が
気が付かないうちに
瞬時に発生し
未成熟なまま
膨れ上がり
成長の止まった
創造主を
簡単に
追い越していくのです
よそ見は禁物だけど
死角ばかり気にして
肝心な
部分が
がら空きに
ならぬよう
気を付けよう人類
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星が消えても
唄が消えても
君が消えても
また閃きますように
時間も空間も
生きた証も
足跡さえも
連れ去って
流れて
消えて
瞬く間に
見えなくなって
知りながら
触れながら
紡ぎながら
繋ぎながら
此処に立って
僕はやはり
唄を歌っている
限りのない宙が
空になっても
また
閃きますように
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しんと降る
悲しみは
使われなかった言葉を
代弁してはくれない
鏡が溶けて
水になる
染み込まれずに
残ったもの
悲しみに揺れて
咲いている一輪の
晴れない空の彼方なら
星は視えるのかな
君の知らない
あの雲を
見上げるのは
浮かんだ言葉を
背負わせる為じゃない
晴れない空の下で
僕は歌う
唄を
真っすぐに一輪は
雲を突き抜けて
彼方まで届け
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ぽつり
ぽつり
ぽつり
ぽつり
ぽつぽつ
ぽつぽつり
ぽつぽつぽつり
ぽつぽつり
気付いては
知らずに
気付いては
知らずに
気付いては
進まない
チッ
走る無意味に
止まる無意味
ああ
もう
ぽつり
ぽつぽつ
ぽつり
ぽつぽつ
明かりを消して
気持ちが慣れるまで
暗くて意識が
追い付かない
ぽつり
ぽつり
ああ
もう