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高級スプーンの部屋


[393] 王さまはひとりぼっち
詩人:高級スプーン [投票][編集]

黒い棺の中から
動機だけを取り出して
不可解な方法で
あの世にでも
流せたら、なぁ

アレを親とも
呼べたかもしれない

いつから底に居たんだ
どこかから
迷い込んだのか
小さくて牙のある獣
飼いたくもないのに
確かに産み落とされて
其処で息をしている
お前は
俺に似ている気がして
嫌いだった
そして怖かった
底にフタをして
押し込めていた

此処ハ何処ダ
僕ハ誰ナンダ
トテモ窮屈ナ場所
理由モ意味モ
分カラナイ
分カラナイガ
暴レタイ位
寂シイヤ
誰カ居ルナラ
僕ヲ上手ク
コントロールシテ

柱が一つ欠けている
気付かないし
築けないから
傷付けない
愛し方を知らない

未完成なのは
アレが手助けを
してくれなかったからと
我儘を流す器が
未熟なまま
固まってしまったから

蓄積された欝憤が
底に棲む獣の
成長を促す
構築される原因に
結果の爪痕を
残したくて
フタを
押し退けようとする獣

逆側から
押さえるのに必死で
身動きが取れない
他に何も出来ないだろ



入れ替わったように
立場が逆転した
閉じ込められた
記憶も無いのに

呆気ないほど
簡単にフタは開いた
外に顔を出すと
アレが居た
本当にもう
アレとしか呼べない物が
転がっていた
俺の目の前に

其処には獣の姿は無く
底にはまだ
獣は在るのか

終わってしまった後にも
引き続き
寂しさは残る
きっとずっと
いつまでも
空は晴れないんだ

2005/11/10 (Thu)

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