無意識に息をするように流れる音色に耳を傾ける者の居ない空間でみんな笑っている私は背中を向けてひとり黙々と対話する音のない背景の寂しさを忘れて楽しんで零れたのは涙なんかじゃない邪魔をしない穏やかで優しい音選び強く強く奏でる雰囲気を壊さないようゆったりと滑らかに私はピアノを弾いている
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