詩人:高級スプーン | [投票][得票][編集] |
電車の窓に映る自分
まとわりついて
離れない
こっちを見るな
聞こえないのか
おい
何とか言えよ
喋るワケないか
うすら笑いを
浮かべる自分に
見下された気分になって
目を逸らす
僕は
また負けた
疑いながら
生きている
初歩的な悩み
抱えながら
騙し騙し
生きている
本当に欲しいモノは
一つも手に入らない
要らないモノばかり
増えてくる
無いよりマシだと
捨てられず
自分の居場所を
削ってる
満員電車に
乗っかって
定められた場所に
向かって運ばれる
目指した場所は
確か
もっと
遥か遠くにあったろ
ここ数年間
同じ所を
行ったり来たり
今の僕は
ニセモノだと
自分を偽り
ぐるぐる回る
まだ見ているのか
窓に映る自分は
こんな僕を
見ていて楽しいか
どうなんだ
うっすらと
今にも消え入りそうな
真顔で睨まれ
足がすくむ
どうしようもないな
本物の敗北者だ
この先ずっと
負け続けるのか
決まった道を選んで
目に見える未来歩んで
確かにそれも
いいだろ
自分で決めた
道だと
自信を持って
言えるなら
問われた僕は
下を向く
また一つ
負けが増えたぞ
あの頃の僕は
何を望んだ
思い出して
何になる
言ったが
自分は話を続ける
僕が答えるまで
やめない気か
スーツを着て
カバン持って
毎朝八時に家を出る
それで満足なら
笑えよ
会社に着く前から
疲れた顔すんなよ
諦めきれず
夢を見て
今の仕事にも
満足出来ない
その甘えから
抜け出さなきゃ
苦しむだけで
終わるぞ
差し伸べられた
自分の手で
僕の首を絞めて
息も出来ない
なのにすがって
離れられない
このままじゃいけない
負け続けるのは
もう嫌だ
それなら顔を
見せてみろ
ハッキリと
自分を見るんだ
僕は
その手を離して
立ち上がり
歩き出した
電車は停まり
扉が開く
降りた場所から
見えたのは
自分にも見えない
その先は
深呼吸して
歩きだす
自分に打ち勝つ為に
前を向いた
その先は
戦う僕が決めるんだ