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高級スプーンの部屋


[539] 先に行って
詩人:高級スプーン [投票][編集]

早熟な身体を露呈し
誰彼構わず語りかける
艶のあるコトバや
若さや危うさに
靡かない心
完全に乾いている

誰かの秘の内を晒した
告白本がズラリ
見える位置に並べるな
もういいよ

生きる意味も分からずに
日々の生活に疲れた若者が
さらりと死ぬフィクション
爽やかに呆気なく
青春を終わらせて
読み返せば
また始まって
何やってるの

もういいよ
感傷系の微温い音に
項垂れながら浸かって
抜けられない頭で呟くな
説得力に欠けるから

もういい
もういい
もういいから
次に行って

小さくて黒い
逆三角形の茂み
濡らした愛を舐める
飢えを満たすように
美味しさも感じずに没頭
獣の頃を想起させる

始めから汚れていた
無理に洗い流すうちに
忘れてしまい勘違い
新しく出来た染みを
見ては嘆き
ヒトは皆
真っ白な生き物でしたとか
後からなら
何とでも言えるよな

なら言うな

車に乗って
列車に乗って
猫になって
なんでもいいから
次に行って

目的も
地位も名誉も
意味もない
もういいから
次に行って
先に行って
いいから行って
行って

風にでも靡け

2006/02/25 (Sat)

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