ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーンの部屋 > くしゃくしゃな唄

高級スプーンの部屋


[587] くしゃくしゃな唄
詩人:高級スプーン [投票][得票][編集]

くしゃくしゃに
丸まった折り紙
必死になって
伸ばしたら千切れた

ようやく千切れた
何かが途切れた
何かって
具体的には何か
言ってみろ

もう一度
くしゃくしゃにして
ポイと捨てた
山盛りの
くずかごに向かって

真っすぐで平らな唄を
平気な顔して歌ってる
素直な君が認められない
ちやほやされていて
とても羨ましかった
僕もそうだったらなとか
いつも思っていた

音がトぶ
宙を浮遊して
ひどい酔い
気持ち悪いな

知らないからこそ
人前で晒せる唄があって
それが悪いかどうかも
知らないから分からない

割れそうなぐらい
力を込めて
ぐしゃぐしゃにした
開いては閉じてを
何度も繰り返した

流石に聞き飽きた
一つ覚えな
ヘビーローテーション
馬鹿みたいに
かけまくるから
擦り切れる頭
交換しても
もう遅い

心ない唄
肝心なものは
胸にしまったまま
自分の命が惜しくて
その割には不用心で
いつも誰かを
うらやましがってる

折れて曲がって
捻れて歪んで
かっとなって
ぐしゃぐしゃにした

真っすぐで平らな唄
僕も歌いたかった
僕が歌いたがったから
千切れてしまったんだ

くしゃくしゃになった唄
伸ばしたら千切れた

素直な君になりたいなとか
また思って
やっぱり無理だった
千切れてしまったから
もう歌う唄も無かった

変な気持ちで
ふらふらと
扉を開けて外に出た

2006/05/31 (Wed)

前頁] [高級スプーンの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -