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高級スプーンの部屋


[628] 泣き犬が蜂と笑う
詩人:高級スプーン [投票][編集]

一つ成し遂げたら
また一つ
二つ成し遂げても
また一つ
幾つもの山を越えたのに
行く手を阻むよう
目の前にそびえる
次の山
夜の風が木の葉を揺らす
かさかさと
静かすぎて逆に煩い

鼓膜も心臓も破裂しろ
俺も世界もパンクしろ
哭き喚きながら走りだす
最高速度
目の前には木が
貌から突っ込み
急停止
上を向いて吠えて走るから
エアバックは膨らまない

稲光
そして
広がる闇
マエガミエナイ
その直後
空から何かが降ってきて
なんなんだと
払い除けようとする
すると
ブンブン音がする
それに
ブスブス突き刺され
無数の痛みに襲われる

早くここから
立ち去ろうと
起き上がろうとするが
ダメだ
動かない

両方の目玉が熱い
潤む視界
いつの間にか
ここは湖か
空では星が飛び回る
頭がぼやけて
聞こえる笑い声

あれ俺どうした
おかしいな
泣いていたのに笑ってる

2006/11/04 (Sat)

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